研究課題/領域番号 |
24390032
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
三隅 将吾 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 准教授 (40264311)
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研究分担者 |
高宗 暢暁 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 助教 (60322749)
庄司 省三 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 名誉教授 (60040317)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ウイルス / 環境 / 抗ウイルス剤 / 薬剤耐性克服 / 根治療法 |
研究概要 |
現行のHIV多剤併用療法は、薬剤耐性、副作用により、治療を開始した患者の実に20~40%が、治療に失敗すると報告されている。本研究では、現行の多剤併用療法の問題点を改善するために、HIV伝播を制御する未知の細胞性因子を探索し、HIV粘膜感染防止のための新規治療標的を選別することで、HIV粘膜(膣)感染防止を目指した新規治療戦略を提案することを目的とする。具体的には以下の3点を有機的に連結させた研究サイクルを回して研究を行うことにしている。 1)HIV粒子を構成するウイルスプロテオームの解析(新規細胞性因子および翻訳後修飾の同定)、2)新規細胞性因子および翻訳後修飾のHIV感染初期過程における機能解析 3)粘膜感染モデルを用いた細胞性因子を標的としたHIV粘膜(膣)感染防止効果の検証 プロテオーム解析の結果、ウイルス粒子内にはglyceraldehyde 3-phosphate dehydrogenase(GAPDH)が取込まれていることを明らかにした。また、GAPDHのHIV感染初期過程における役割を検討したところ、GAPDH取込みを減少させたウイルスは感染価が上昇し、一方でGAPDHの取込みを増加させたウイルスでは感染価が減少した。この2種類のウイルスを詳細に調べたところ、HIV-1逆転写反応のプライマーとなるtRNA^<Lys3>の取込み量がGAPDHの取込み量と逆相関していた。つまりGAPDHはtRNA^<Lys3>のHIV-1粒子内への取込みを抑制する働きをもつことを初めて明らかにした。本知見は、根治療法開発に向けたtRNA^<Lys3>取込み機構に関する更なる理解のために有用なものであると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
GAPDHに関連する研究はすでに論文に掲載された。また、別の因子についても現在revision中で、まもなく研究成果を報告できる予定にしている。また、共同研究等を介して、本研究で得られた知見を基に、阻害剤のスクリーニングを進めようと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後も具体的には以下の3点を有機的に連結させた研究サイクルを回して研究を行うことにしている。 1)HIV粒子を構成するウイルスプロテオームの解析(新規細胞性因子および翻訳後修飾の同定) 2)新規細胞性因子および翻訳後修飾のHIV感染初期過程における機能解析 3)粘膜感染モデルを用いた細胞性因子を標的としたHIV粘膜(膣)感染防止効果の検証
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次年度の研究費の使用計画 |
残としては基金が27,541円発生したが、ほぼ計画的に執行できていると思われる。なお、次年度も以下の有機的に連結させた研究サイクルを回して研究を行うことにしている。 1)感染初期過程に関与する新規細胞性因子および翻訳後修飾の同定(HIV粒子プロテオーム解析):三隅将吾 2)新規細胞性因子および翻訳後修飾のHIV感染初期過程における機能解析:庄司省三 3)HIV粘膜(膣)感染防止効果の検証:高宗暢暁
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