研究課題
本研究は、ナノ粒子の次世代影響発現機序を、脳神経系及び生殖系に焦点を当てて明らかにすることを目的として行った。とくに、ナノ粒子の職業・環境的曝露としてリスク管理の優先順位の高いと思われる気道からの曝露を想定し、マウスへの投与実験を気管内投与・点鼻投与・経肺投与を中心として進めた。(成果1)母獣の気道から投与した粒子が次世代の脳の血管周囲細胞に与える影響に併せて、これに隣接するアストロサイトにおいてGFAPタンパク質だけでなく、水チャネルAQP4タンパク質も用量依存的に発現亢進することが明らかになった。(成果2)エピジェネティクスの観点でナノ粒子による次世代神経毒性評価指標を探索した結果、二酸化チタンナノ粒子の胎児期曝露群の1日齢(新生仔期)の全脳試料において、プロモーター領域のグローバルなDNA低メチル化が示唆されるとともに、Pcdh9遺伝子の有意な発現亢進が認められた。これらの毒性・臨床学的意義は未解決の検証課題である。(成果3)公開されている脳領域ごとの遺伝子発現プロファイル大規模データ(NCBIのGEOより取得)を解析した結果、ナノ粒子の脳内分布を制御し得るタンパク質候補としてエフリンが見出された。(成果4)銀ナノ粒子の妊娠期投与(飲水経口投与)による次世代雄性生殖系への影響は、調製した銀ナノ粒子を投与直前に凝集させても消失せず、二次粒子径に依存しない可能性が示唆された。(結論)ナノ粒子が脳に、次世代を含めて分布・蓄積することが明らかになり、今後はそのメカニズムの解明と制御を可能にする技術が注目されるであろうと期待される。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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