研究課題/領域番号 |
24390038
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
澤田 康文 東京大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (80114502)
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研究分担者 |
堀 里子 東京大学, 情報学環, 准教授 (70313145)
佐藤 宏樹 東京大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (80451855)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 薬物相互作用 / フッ化ピリミジン系抗癌薬 / 薬物代謝酵素 / フェニトイン |
研究概要 |
1.我々が持つ医療現場とのネットワークを介した相互作用症例収集により、前年度から今年度末までに、フェニトインについて、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤(以下 S-1)との併用 11 症例、カペシタビンとの併用 1 症例、フルオロウラシル或いはカペシタビンとの併用 1 症例が収集された。 2.ヒト肝癌由来 HepaRG 細胞を用いた実験系において、フッ化ピリミジン系抗癌薬に共通する 5-フルオロウラシルを長期曝露することにより、薬物代謝酵素(CYP2C9 を始めとする複数の CYPs)の mRNA 発現量、代謝活性が低下することが明らかとなり、本相互作用の時間依存的な特徴を裏付ける結果であった。今後、他のフッ化ピリミジン系抗癌薬や幅広い抗癌薬について、CYP に及ぼす影響を明らかにしていく予定である。 3.前年度に構築したモデルにより、1.で収集した症例は良好に表現でき、本相互作用の時間依存的な特徴を裏付ける結果であった。また、各種相互作用に関するパラメータを算出できた。構築したモデルおよび算出したパラメータを用いて、フッ化ピリミジン系抗癌薬併用時にフェニトイン血中濃度を維持可能な投与設計が可能となった。 4.多数の症例が集積された S-1 との併用に関して、患者の体重、フェニトイン投与量、フェニトイン血中濃度、S-1 の用法用量を入力することで、S-1 併用時のフェニトイン血中濃度変動を予測する iPad アプリを開発した。今後、臨床現場からの評価をとり、機能改良を行っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全体としてはおおむね順調に進展している。症例収集は本研究に必要な症例数をほぼ収集できている。モデル解析についても計画通りに進んでいる。メカニズム解明に関する研究については、前年度に実験条件の確立に想定以上の時間を要したものの、今年度においておおよそ計画どおりに進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
症例収集、モデル解析、メカニズム解明、相互作用評価システムの開発とも、当初の予定通り進行しており、今後も継続して進める。相互作用評価システムに対する臨床現場からの評価に関しては、協力薬剤師の目処は立っており、今後の研究推進にも問題はない。
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次年度の研究費の使用計画 |
前年度に生じたメカニズム解明についての研究に遅れが生じ、本年度にほぼ計画通りまで進めることができたが、若干の未実施の試験が生じた。 メカニズムの解明については、翌年度の計画に余裕があり、未実施の試験も合わせて行うことが可能であることから、当該助成金を合わせて使用する予定である。
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