研究課題/領域番号 |
24390040
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
加藤 将夫 金沢大学, 薬学系, 教授 (30251440)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 薬物動態・代謝学 / 膜輸送体 / 慢性臓器疾患 / 薬物治療 / 抗酸化物質 |
研究概要 |
有機カチオントランスポーターOCTN1は、食物由来抗酸化物質であるergothioneine(ERGO)を体内に濃縮的に取り込むことで、酸化ストレス抑制と炎症性疾患に対する生体防御に働く可能性がある。本年度は、OCTN1の肝線維化と中枢性疾患に及ぼす役割解明を目的として、その機能的発現に関する検討を行った。マウス肝線維化モデルを作製したところ、線維化部位でのOCTN1の発現が顕著に亢進し、OCTN1の重要性が示唆された。一方、右側脳室に[^3H]ERGOを投与後の脳内分布を測定したところ小脳、橋・延髄、視床下部、中脳で野生型に比べ欠損マウスで低下し、これら脳部位で機能的に発現することが示唆された。次に脳部位における食事由来ERGOの含有量を測定したところ、小脳で最も高く、橋・延髄、視床下部、中脳で高い傾向を示した。さらにOCTN1の遺伝子発現を測定したところ、小脳で最も高く、橋・延髄、視床下部、中脳で高い傾向にあった。発現量の分布は[^3H]ERGOや食事由来ERGOの分布とおおむね合致しており、OCTN1の脳での機能的発現を裏付けた。マウス脳凍結切片を作製しOCTN1抗体と神経細胞マーカータンパクMAP2抗体を用い、蛍光免疫二重染色を行ったところ、小脳、橋・延髄、視床下部、線条体、中脳、海馬、大脳皮質でOCTN1が神経細胞に発現することが示された。OCTN1の役割をさらに詳細に検討する目的で、未分化神経細胞モデルNeuro2a細胞にOCTN1特異的なsiRNAを処置したところ、OCTN1のmRNA発現と[3H]ERGOの取り込みが顕著に抑制された。この時、siRNA処置群では細胞総数が増加し分化した細胞の割合は減少した。すなわち、OCTN1によって神経前駆細胞の分化能が制御される可能性が示されOCTN1が新たな創薬標的となりえる可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初計画では、肝線維化を対象とする研究のみを本年度に計画していたが、その計画通りに結果が得られたばかりでなく、平成26年度に予定していた脳を対象とした研究についても一部の成果を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画通り肝線維化における膜輸送体の役割解明を中心に進め、これを他臓器疾患にも応用する。膜輸送体を標的とする化合物を用いた治療実験を並行して進める.
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