研究課題
近年、ペプチド・蛋白質・核酸医薬品等の画期的バイオ医薬シーズが創製されつつあるものの、バイオ医薬は生体膜透過性に乏しい上に消化酵素によって分解されやすく、多くのバイオ医薬が注射による投与を余儀なくされている。周知のように、経皮投与は理想的な投与方法として注目されている。しかしながら、元来、皮膚は外部環境から生体内部環境を保護するバリアとして機能しており、ここに経皮投与薬創製の難しさがある。本研究では、独自の生体バリア制御研究基盤を有効活用することで、皮膚バリア制御分子を創製し、経皮投与技術を開発することを目的とした。Claudin (CL) binderスクリーニングではCL発現系の開発が最重要課題となっていた。これまでに当グループでは、バキュロウイルス(BV)上にCLが高密度提示されること、CL提示BVがCL binderスクリーニング系として機能すること、ファージ表面提示法を駆使することでCL-1 binderを創製できる可能性を見出してきた。これらの予備検討の結果を踏まえ、初年度はCL提示BVシステム、ファージ表面提示法、FRETシステムなどを活用したCL-1 binder創製システムの確立・最適化を試み、CL binderとCLタンパク質の相互作用をハイスループットスクリーニング(HTS)可能なシステムを開発した。また、CL-1 binder HTS系構築に資するCL-1リガンド分子を創出してきた。平成25年度は、初年度に確立・最適化したCL-1 binder創製基盤を有効活用することで、CL-1 binderスクリーニング系のシステムアップを図ると同時に、CL-1リガンド分子のCL結合特異性および生理活性解析を実施した。さらに、CL binder候補分子の取得にも成功した。
2: おおむね順調に進展している
当初計画通り、claudin-1 modulator候補分子の取得に成功しており、概ね順調に進展している。
本課題の成否は、質の高いclaudin-1 binder創製が握っている。そこで、抗体、ペプチド、低分子タイプのclaudin-1 binder創製などのバックアップ実験を積極的に進めることで、当該研究期間内に1つでも多くclaudin-1 modulatorの取得を図る。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (35件) (うち招待講演 3件) 産業財産権 (2件) (うち外国 2件)
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