研究課題
近年、ペプチド・蛋白質・核酸医薬品等の画期的バイオ医薬シーズが創製されつつあるものの、バイオ医薬は生体膜透過性に乏しい上に消化酵素によって分解されやすく、多くのバイオ医薬が注射による投与を余儀なくされている。周知のように、経皮投与は理想的な投与方法として注目されているものの、元来、皮膚は外部環境から生体内部環境を保護するバリアとして機能しており、ここに経皮投与薬創製の難しさがある。本研究では、独自の生体バリア制御研究基盤を有効活用することで、皮膚バリア制御分子(Claudin-1 (CL-1) binder)を創製し、経皮投与基盤技術の開発を目指した。CL発現系の開発がCL binderスクリーニングの最重要課題となっていたが、現在までにバキュロウイルス(BV)上にCLが高密度提示されること、CL提示BVがCL binderスクリーニング系として機能することを見出している。さらに、ファージ表面提示法を駆使することでCL-1 binderを創製できる可能性を見出してきたこれらの予備検討の結果を有効活用し、計画1年目はCL提示BVシステム、ファージ表面提示法、FRETシステムなどを活用したCL-1 binder創製システムの確立・最適化を実施した。計画2年目は、初年度に確立・最適化したCL-1 binder創製システムを有効活用することで、CL-1 binderスクリーニング系のシステムアップを図り、CL-1の細胞外領域認識抗体を創製した。3年目は、抗CL-1抗体の皮膚バリア制御活性解析に研究資源を集中し、抗CL-1抗体はヒト腸管バリアモデルには作用せず、ヒト皮膚バリアモデルにおいてのみバリア低下作用を示すことを見出し、CL-1を標的とした経皮吸収促進剤のコンセプトを検証した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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