研究課題/領域番号 |
24390043
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 崇城大学 |
研究代表者 |
小田切 優樹 崇城大学, 薬学部, 教授 (80120145)
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研究分担者 |
丸山 徹 熊本大学, 薬学部, 教授 (90423657)
渡邊 博志 熊本大学, 薬学部, 准教授 (70398220)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | アルブミン / ナノメディスン / レドックス / チオレドキン / 多臓器不全治療 |
研究概要 |
本研究は、未だ有効な治療法が存在しない多臓器不全の新たな疾患概念である複数臓器間の"臓器障害クロストーク"を持続的に阻止すべく、抗ストレスタンパク質であるチオレドキシン(Trx)の優れた抗酸化・抗炎症効果をアルブミン(HSA)融合技術により強化.持続した次世代型Trx-HSA融合体を設計・評価し、これを駆使して複数臓器を網羅的に保護する新たな治療戦略の構築を目的として実施した。 本年度のエンドポイントは、アルブミン融合技術を駆使して次世代型HSA-Trx誘導体を開発し、臨床応用することであり、今回はその基礎情報を構築すべく、まず1)3種HSA-Trx誘導体の作製と構造・機能評価、次いで2)多臓器不全病態モデル動物におけるHSA-Trx誘導体の血中滞留性を解析し、これらの結果に基づき、3)多臓器不全病態モデル動物に対する治療効果と抗酸化・抗炎症作用を評価し、その機序解明を試みた。以下に得られた知見を要約する。 1)3種のHSA-Trx誘導体(1)Trx-HSA-Trx、(2)HSA-HSA-Trx、(3)Trx-HSA-HSA-Tfx)のcDNAを遺伝子組換え技術により設計し、常法としてゲルろ過カラムで分離して目的とする融合体を精製した。次いで、還元・非還元SDS-PAGE及びCDスペクトルにより変異体の純度を検定した。 2)1)で作製した融合体の立体構造特性は、UV吸収、蛍光、CD及びNMRスペクトル法と各構成タンパク質の抗体を用いて評価した。次いで、Trxの還元活性をInsulin reducing assayにより評価した。また、各融合体の変異原性は、融合体と血清から精製したそれぞれの構成タンパク質をラットあるいはウサギに免役し、免疫血清を再び血清由来の成分とゲル内沈降反応させて評価した。 3)3種HSA-Trx誘導体の抗酸化活性は各種ラジカル及び活性酸素種(ROS)に対する除去効果をESR法、DPPH及びAAPHラジカル消去法により評価した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全てが当初の予定通りに進んでいる。特に、In vitro実験より、本融合体活性を十分に保持していることが確認でき、次年度への検討課題に順調に取り組めることを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
前年度の成果に基づき、In vivoでの体内動態や病態モデルを作成して治療効果を調べる。
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度は、目的はある程度達成したが、研究室で在庫している試薬等を有効利用できたため、残金が発生した。この残金は、既存のNPLCに蛍光検出器を取り付けるために使用する予定である。
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