研究課題/領域番号 |
24390043
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研究機関 | 崇城大学 |
研究代表者 |
小田切 優樹 崇城大学, 薬学部, 教授 (80120145)
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研究分担者 |
丸山 徹 熊本大学, 薬学部, 教授 (90423657)
渡邊 博志 熊本大学, 薬学部, 准教授 (70398220)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | アルブミン / ナノメディスン / チオレドキン / 多臓器不全治療 / 病態モデル / 肺障害 / 肝障害 / 腎障害 |
研究概要 |
本研究課題である多臓器不全モデルでのアルブミン-チオレドキシン(HSA-Trx)の治療効果を調べるため、原発臓器になりうる肺、肝、腎障害モデルのマウスを作製して以下の知見を得た。 1)特発性肺線維症に対する治療薬として可能性を検証すべく、ブレオマイシン(BLM)誘発肺線維症に対するHSA-Trxの有用性を評価した。その結果、週1回投与で有意な肺線維化抑制効果が確認された。またこの効果は、Trxの単独の2日に1回の腹腔内繰り返し投与とほぼ同程度だった。対照的に同条件下のHSA及びTrx単独投与では、線維化に対する抑制効果は認められなかった。 2)アセトアミノフェン(APAP)誘発肝障害においても病態形成に酸化ストレスが重要な役割を果たしていることから、本モデルを用いてHSA-Trxの有用性を評価した。その結果、HSA-Trxでは、用量依存性の肝障害抑制効果が認められ、APAP誘発致死モデルの生存率を有意に改善した。他方、HSA群では有用性が認められず、Trx群では抑制効果は見られたものの、その効果はHSA-Trx群よりも劣っていた。 3)シスプラチン腎症に対するHSA-Trxの有用性を評価した。シスプラチン腎症マウスは、シスプラチン(15mg/kg)を腹腔内単回投与することで作成した。HSA-Trxはシスプラチン誘発のSCr、BUN及び尿中NAG活性の上昇を抑制するとともにクレアチニンクリアランスの低下を抑制した。この時、腎切片におけるスーパーオキサイド産生抑制とともに、DNA及びたんぱく質の酸化物である8-OHdGおよびnitrotyrosine生成抑制が認められた。加えて、HSA-Trx処理によりGSH/GSSG比の低下が有意に改善した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
病態モデルの作成に予想以上に時間を要し、当初の多臓器不全モデルを用いてのアルブミン-チオレドキシン融合体の評価を行うことができなかった。しかし、多臓器不全モデルでの作成にも目途がついた。今年度はこれらの動物モデルでの評価を行うととともに、安全性評価についても検討する。
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今後の研究の推進方策 |
多臓器不全モデルでの作成にも目途がついたので、これらの動物を使った融合体評価を行うとともに、安全性評価についても検討を行う。
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