研究課題
本研究は、未だ有効な治療法が存在しない多臓器不全の新たな疾患概念である複数臓器間の“臓器障害クロストーク”を持続的に阻止すべく、抗ストレスタンパク質であるチオレドキシン(Trx)の優れた抗酸化・抗炎症効果をアルブミン(HSA)融合技術により強化・持続した次世代型Trx-HSA融合体を設計・評価し、治療効果を調べるため、原発臓器になりうる肺障害モデルマウスを作製して以下の知見を得た。1)気管支肺胞洗浄液(BALF)中の好中球数が上昇し始める感染4日後で、HSA-Trx融合体あるいはTrxを投与したところ、HSA-Trx融合体投与群のみで有意な障害抑制効果及び生存率の改善が確認された。2)HSA-Trx融合体は、インフルエンザ誘発のBALF中好中球数の上昇及び酸化ストレス(肺組織8-ヒドロキシ-2'-デオキシグアノシン、ニトロチロシン、血中ヒドロペルオキシド量)の誘導を抑制したものの、BALF中肺胞マクロファージ数の上昇及びインターフェロン産生、肺組織iNOSの発現には影響を与えなかった。3)インフルエンザ感染治療の標準薬であるタミフルと肺障害抑制効果を比較検討したところ、ほぼ同程度の肺障害抑制効果を示した。加えて、HSA-Trx融合体のBALFへの移行性が上昇していることが判明した。これらの結果から、HSA-Trx融合体はTrxの血中滞留性と発症部位である間質への移行性を向上させる結果、インフルエンザ誘発急性障害に対し抑制効果を示すことが明らかになった。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 11件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 2件) 図書 (1件)
J Pharm Pharmacol.
巻: 67 ページ: 255-263
doi: 10.1111/jphp.12338.
J Pharmacol Exp Ther
巻: 352 ページ: 244-257
doi: 10.1124/jpet.114.219493.
Cancer Sci.
巻: 106 ページ: 270-278
doi: 10.1111/cas.12592.
巻: 106 ページ: 194-200
doi: 10.1111/cas.12577.
J. Pharmacol Clin Toxicol.
巻: 3 ページ: 1045
Biochim Biophys Acta.
巻: 1840 ページ: 2806-2812
doi: 10.1016/j.bbagen.2014.04.014
Biomaterials.
巻: 35 ページ: 6553-6562
doi: 10.1016/j.biomaterials.2014.04.049.
J Pharm Sci.
巻: 103 ページ: 2184-2188
doi: 10.1002/jps.24020.
Carbohydr Polym
巻: 112 ページ: 152-157
doi: 10.1016/j.carbpol.2014.05.078.
Mol Pharm.
巻: 11 ページ: 4238-4248
doi: 10.1021/mp500453a.
Front Immunol
巻: 5 ページ: 561
doi: 10.3389/fimmu.2014.00561.