研究実績の概要 |
本研究では細胞の極性輸送に関わる既知の蛋白や線虫のスクリーニングによって見つけた新規蛋白を欠損したマウスを作製し、組織中の細胞の極性輸送の分子機構とその破綻による疾患病態の解明を行った。具体的には下記の2つの研究を行った。 研究1)現在まで作製した既知の極性輸送関連分子欠損マウスの解析 研究2)線虫で同定した新規の極性輸送関連分子の組織特異的欠損マウスの作製と解析 1については、Rab8ab DKO(2重欠損マウス), syntaxin3小腸特異的KO, SNAP23 膵臓特異的KO, PKD1 KO, PKD2 KOの解析を中心に行った。Rab8ab DKOはRab8aKOの表現型が強くなった表現型を示したが、繊毛には異常が見られなかった。その結果は既に国際誌に発表済みである。膵臓外分泌腺特異的SNAP23KOは分泌の顕著な低下が見られたが、内分泌腺特異的KOでは分泌の亢進が見られたため、その結果をまとめて現在投稿中である。PKD1,2KOは単独では異常を示さないものの、DKOは致死になることが判明し、DKOの神経細胞は軸索伸長が低下した。その結果をまとめて投稿・発表した。 2については、低分子量GTP結合蛋白質のRab1, 及びArf1活性化因子について組織特異的KOを作製、解析中である。また、Rab11aについてもapical側への輸送への関与が示唆されたため、そのKOの解析を行い、国際誌に発表した。さらにRab8,11に結合する蛋白を同定したため、速やかにその解析に移る予定である。Rab8結合タンパクについては、解析がほぼ終了したため、来年度に投稿する予定である。
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