研究課題
脂肪酸結合タンパク(FABP)分子ファミリーは、水に不溶な脂肪酸を細胞内の標的部位に輸送して、様々な細胞機能を発揮する。昨年度に引き続き、FABP分子の免疫および神経系支持細胞における機能的意義と作用機序について検討を行った。研究成果とその意義について以下に示す。1. FABP7(脳型FABP)が、肝ストローマ細胞の一つであるクッパー細胞に発現し、FABP7欠損マウスではアポトーシスに陥った肝細胞の貪食に障害があることを発見した。さらにこの過程が、スカベンジャー受容体の発現を介して制御されることを明らかにした。加えて、TNFaやTGFbなどのサイトカイン産生を制御していることも明らかにし、論文投稿中である。2. アストロサイトに発現するFABP7が、神経細胞の樹状突起スパイン形成に関与することを明らかにした(論文投稿中)。現在、アストロサイトから神経細胞への調節因子同定を進めている。3.胎盤をはじめとする生殖器臓器の支持細胞における各種FABPの発現と機能について、解析を行い、FABP3が母体から胎児への脂質輸送に重要な役割を担っていることを明らかにした(論文投稿中)。
2: おおむね順調に進展している
グリア細胞の神経可塑性調節機構について、グリア膜脂質ドメインの構成変化が中心的な役割を担っていることを突き止めた。本成果は、日本解剖学会、神経科学会、米国神経科学会などにおいて成果発表を行い、論文投稿に至った。制御因子の同定に向けて、質量分析やDNAアレイの至適条件の検討も順調に進んでいる。
計画書通りに鋭意研究を推進する。特にFABPを介して支持細胞から放出される様々な生理活性因子の同定に注力する。
細胞培養関連実験の進捗度により、未使用額が生じているものの、現在実験準備が整いつつある。次年度は、遺伝子導入実験に関連する細胞培養実験試薬等に平成25年度の未使用額を合算し、研究費を執行する予定である。
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すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件) 学会発表 (2件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)
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