研究課題
支持細胞における脂質恒常性破綻と、精神疾患や炎症性疾患との関連性が示唆されている。本研究では、神経系支持細胞であるグリア細胞および肝臓のクッパー細胞に着目し、以下のような解析を施行して結果を得た。1)神経系アストロサイトにおいて脂肪酸結合タンパク質(FABP)が欠損すると、細胞膜の脂質ラフトを構成する主要な蛋白質であるカベオリン1の遺伝子発現が低下し、ラフトを介したシグナル伝達が障害されること(Kagawa et al., Glia 2015)。この結果は、アストロサイト内の脂肪酸代謝状態によって、外部刺激に対するシグナル伝達の活性が影響を受けることを示している。2)FABP遺伝子欠損マウスでは、内側前頭前野に存在する錐体細胞樹状突起の形態が変化し、興奮性シナプスの活動低下が招来されていること(Ebrahimi et al., Glia 2016)。この結果は上記1)のアストロサイトの脂質代謝の変化が、神経細胞の活動に影響を及ぼすことを示している。3)グリオーマ幹細胞において脂肪酸合成酵素(FAS)を介したde novoの脂質代謝が、その幹性維持に重要な役割を担うこと(Yasumoto et al., Plos One 2016)。この結果は、幹細胞性維持するための様々な遺伝子の発現が、脂肪酸代謝系によって制御されいることを示唆している。4)高脂肪食投与によって誘導される肝障害過程において、クッパー細胞(KC)のFABP7が、KCの活性化制御を通して肝細胞における脂質蓄積や白色脂肪組織の炎症に関連すること(投稿準備中)。今後、さらにクッパー細胞の活性化に対する脂質代謝の意義について検証を加える予定である。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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