研究概要 |
オートファジー隔離膜の形成機序を明らかにすることを目的として、オートファゴソームの前駆構造であるオメガソーム細管構造を電子顕微鏡により解析し、以下の結果を得た。 1.野生型線維芽細胞において閉じようとしている隔離膜、約10プロファイルを対象として電子線トモグラフィーによる3次元立体構築を行った。その結果、オメガソーム細管の一部は近傍の小胞体および隔離膜と連続していることを見出した。このことは、オメガソーム細管が隔離膜と小胞体の間に介在する構造であることを示す。 2.Atg3-,Atg5-,Atg7-,Atg16L-,FIP200-欠損線維芽細胞について、オメガソーム細管の存在を調べたところ、FIP200-欠損線維芽細胞以外で明らかなオメガソーム細管を検出した。このことは同構造がAtg結合反応に依存せず、隔離膜形成の初期に関与することを示唆する。 3.線維芽細胞のみならず、他の培養細胞株(ARPE-19,Huh-1,NRK,HeLa)においてもオメガソーム細管が検出された。このことはオメガソーム細管が細胞種によらず広く存在する構造であることを示す。 4.上記1-3の結果は研究会や学会で発表した。また、現在論文投稿中である。 5.オメガソーム細管とオートファジー関連分子との関係を調べるために、mcherry-KDELR,GFP-DFCPI,GFP-WIPII等のコンストラクトを作製し、線維芽細胞に発現させてライブセルイメージングを行った。 その結果、GFP-DFCP1はER膜構造の局所的膨隆部に同部位を取り囲むリング上の構造として出現することが分かった。 6.本年度の成果としてオメガソーム細管が隔離膜生成の初期段階に関与することが分かったため、次年度では、この初期段階の構造検出法を開発し、光学顕微鏡および電子顕微鏡解析を進める。
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