研究課題/領域番号 |
24390048
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
和栗 聡 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (30244908)
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研究分担者 |
山本 雅哉 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (20446115)
亀高 諭 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (10303950)
植村 武文 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (80548925)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | オートファゴソーム / ファゴフォア / 四酸化オスミウム / CLEM / 電子線トモグラフィー |
研究概要 |
オートファジーは極めて動的な膜変化を伴う現象であり、その形態学的基盤を確立することは関連分子機構を研究する上で重要である。これまで我々は特殊固定法を用いた電子顕微鏡解析により、オートファジー隔離膜の閉鎖部付近に多数のオメガソーム細管を見出した。 平成25年度は主にこの知見を立証するための実験を行った。まず、光学顕微鏡で観察されるオメガソームと電子顕微鏡で観察される細管集合体の位置関係を明らかにする目的で、野生型の胎児由来線維芽細胞 (MEF)およびATG3欠損MEFにオメガソームマーカーであるGFP-DFCP1を導入し、光学顕微鏡像と電子顕微鏡像を重ね合わせる手法 (CLEM法) を用いて解析した。その結果、オメガソームが閉じる点状構造に一致して細管構造が観察された。すなわち細管構造がオメガソームの一部を成すことが示された。また、これら細管構造はMEFのみならず、HeLa細胞、NRK細胞、ARPE-19細胞、Huh-1細胞、マウス肝臓組織においても見出され、普遍的に存在することが分かった。一方、加圧凍結-凍結置換固定法により細管構造の同定を試みたが、オートリソソーム限界膜が同定できる条件では見出されなかった。同構造は隔離膜と同様に特殊な膜脂質組成を持ち、形態保存条件の設定が困難であると考えられた。さらに、隔離膜生成に寄与すると考えられるミトコンドリアおよびAtg9との関係性を免疫蛍光法および電子顕微鏡により解析し、両者がオメガソームの近傍に位置することを明らかにした。 前年度までの知見に上記結果を追加し、この細管集合体が小胞体と隔離膜を介在する中間構造体であることを論文にまとめ、Molecular and Cellular Biology誌に発表した。また、同細管構造をIMAT(isolation membrane associated tubule)と命名した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H25年度は論文審査過程で提起された課題に対し、その実験計画策定と遂行に多くの時間を費やした。その結果、目標としたレベルの科学雑誌に発表することができた。一方、当初目的とした隔離膜生成初期過程における形態解析は、方法論の試行錯誤を継続しており、次年度の課題としたい。
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今後の研究の推進方策 |
発表論文の内容は隔離膜の閉鎖過程における微細形態像を示したものであり、その生成初期過程の形態解析は方法論を含めて試行錯誤を継続している。次年度は、小胞体における隔離膜形成部位のマーカーを探るとともに、新たな試みとして共同研究によるFIB-SEM観察、あるいはオスミウムマセレーションを応用した走査型電子顕微鏡の観察をすすめる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
年度末の予算執行分に関し、研究機関の会計システムに含められなかったため。 次年度の物品費として使用予定である。
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