研究課題
オートファジーは極めて動的な膜の生成と変化を伴う現象であり、その形態学的基盤を確立することは関連分子機構や病態を理解する上で重要である。本研究に先立ち、我々は特殊固定法を用いた電子顕微鏡観察により、オートファジー隔離膜の閉鎖部付近に多数の極細管集合体を見出した。本研究では同構造体の3次元形態解析及び生成機構の解析を行った。平成25年度までに、各種Atg遺伝子欠損線維芽細胞を用いた光学顕微鏡及び電子顕微鏡解析により、これら細管構造が小胞体に由来し、隔離膜前駆体構造として知られるオメガソームに相当することを突き止めた。そしてこの構造をIMAT (isolation membrane associated tubule)と命名し、「Molecular and Cellular Biology」誌に発表した。平成26年度は本研究をさらに発展させ、以下の成果を得た。1.電子顕微鏡観察においてオスミウムを用いた特殊固定法の条件検討を行った結果、15℃以上の温度で固定すると隔離膜とIMAT構造の形態が良く保存されることを見出し、この成果を「医学生物学電子顕微鏡技術学会誌 」に発表した。2.小胞体、IMAT、隔離膜の三者構造の位置関係についてより視覚的に理解するために、オスミウムマセレーション法を用いた走査型電子顕微鏡観察に着手した。様々な条件設定を行った結果、隔離膜とIMAT構造の一部を観察することに成功した。本研究は次期基盤研究Bとして発展させる予定である。以上の結果より、小胞体に由来するオートファジー隔離膜の形成機構について、形態学的基盤の確立に向けた初期研究が完了した。本研究で発見したIMATは隔離膜初期形成構造を探索する上での形態指標となり、各種オートファジー関連遺伝子の機能発現部位の解析に貢献できる。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち謝辞記載あり 2件、 査読あり 1件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 4件) 備考 (1件)
顕微鏡
巻: 49 ページ: 118-123
医学生物学電子顕微鏡技術学会誌
巻: 28 ページ: 9-11
http://www.fmu.ac.jp/home/anatomy2/index.html