研究課題/領域番号 |
24390049
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
岩脇 隆夫 群馬大学, 先端科学研究指導者育成ユニット, 講師 (50342754)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 小胞体ストレス / 脂質代謝 / タンパク質品質管理 / ムチン / IRE1 / ATF4 / エリスロポエチン / 癌 |
研究概要 |
本研究の目的は生体内における細胞ストレス応答を分子生物学的側面から理解し、ストレス順応性モデルを作り出すことである。ここで対象とする細胞ストレスの主たるものは「小胞体ストレス」であり、平成24年度はIRE1とATF4に関する研究を中心に遂行した。このIRE1やATF4に関して次のことが以前から分かっていた。IRE1は小胞体局在型I型膜タンパク質として存在し、小胞体内腔で生じるタンパク質に構造異常を監視している。もし小胞体内で異常構造化したタンパク質が増加すると、IRE1は自身が有するRNase活性を発揮してXBP1mRNAのスプライシングを誘導する。スプライシングされたXBP1mRNAからは転写因子として機能的なXBP1タンパク質が作り出され、小胞体分子シャペロン遺伝子群の発現を上昇させる。一方、ATF4はXBP1とは異なるメカニズムで小胞体ストレス時に活性化される転写因子であり、ストレスに対し保護的に働く遺伝子の活性化を促す。本年度新たに得られた知見は以下の通りである。IRE1は自身のRNase活性を利用して脂質合成遺伝子(mRNA)の分解反応に関わり、血中および肝臓での中性脂肪やコレステロール量をコントロールすることが分かった。また大腸においては同じくRNase活性を利用してムチン産生制御に関わることが分かった。小胞体ストレス感知機構の観点からはIRE1αとは異なるIRE1βの分子メカニズムの一端を明らかにした。さらにIRE1αの阻害剤を発見し、それに抗腫瘍活性があることを見出した。ATF4に関しては遺伝子発現調節を介したエリスロポエチン産生制御能があることを突き止めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度予定していた主な研究には3種類の遺伝子組換えマウスの作製、実験手法の条件検討、および培養細胞実験からの基礎データ収集があるが、いずれも計画通りに遂行できた,特に培養細胞実験から得られたデータからは細胞ストレス感知に関わる新たな知見が得られたため論文発表に至っている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究がおおむね順調に進展しているので、計画通りに研究を遂行するつもりである。特に計画変更や新たな課題は今のところ見当たらない。
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