研究課題
本年度は昨年以前とは異なり生体イメージングおよびタンパク質ジスルフィド結合に重点を置いて研究を進めてきた。その研究から私たちは酸化ストレスをGFP蛍光により可視化できるマウスの開発に成功した。これまでにはルシフェラーゼ発光を利用した酸化ストレス可視化マウスの開発に成功していたが、GFP蛍光によるレポーターマウスの作出により、さらに微細な生体組織領域の酸化ストレスを解析できるようになった。このマウスを用いて脳虚血時に生じる酸化ストレスを詳細に解析し、酸化ストレス応答分子であるNrf2の役割について新たな知見を得ることができた。また脳マラリア時に生じる酸化ストレスの検出に成功した。マラリア感染と酸化ストレスとの関連性は以前から指摘されていたが、生体イメージング技術の導入により感染から酸化ストレス発症、体内での原虫増殖、および症状悪化までの時間経過がパラレルに評価できた。また小胞体ストレスを可視化できるマウス(2004年および2009年発表済み)を利用してアセトアミノフェン(解熱鎮痛薬として広く利用されている)で生じる肝傷害の検出にも成功した。解析の結果から小胞体ストレス時に活性化されるCHOP(アポトーシス誘導性分子)がアセトアミノフェンでも活性化されて肝傷害を引き起こしているようであることを突き止めた。さらに私たちはERdj5(タンパク質ジスルフィドイソメラーゼの1種)がロドプシンに作用し、その正常なタンパク質フォールディングに関わることを示した。加えて水銀毒性とタンパク質ジスルフィドイソメラーゼとの関係性も明らかにした。どうやらタンパク質ジスルフィドイソメラーゼに対するメチル水銀化が小胞体ストレスを誘導し、細胞内のタンパク質品質管理機構にダメージを与えることでも水銀は毒性を発揮することを明らかにした。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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