研究課題/領域番号 |
24390052
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
三枝 理博 金沢大学, 医学系, 准教授 (20296552)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 概日リズム / 視交叉上核 / バソプレシン / Bmal1 / 神経ネットワーク / VIP |
研究概要 |
本年度は、AVPニューロン特異的に概日時計機構を欠失したマウス(Avp-Bmal1-/-マウス)について、SCN神経ネットワークに於ける異常を明らかにするため、SCNスライスを用いた発光イメージングによる詳細な解析を行った。また、これらのマウスの睡眠・覚醒パターンについても解析を行った。さらに、AVPニューロン特異的に固有概日周期を延長させたマウス、同ニューロン特異的にGABA作動性シグナリングを欠損したマウスを作成し、行動学的な解析を行った。さらに、SCN・AVPニューロンやVIPニューロンを、光遺伝学や薬理遺伝学を用いて人為的に活性化させる実験の準備を行った。 その結果、Avp-Bmal1-/-マウスはSCNニューロン間の同調に異常を生じていることが明らかになった。同マウスの睡眠・覚醒パターンは自発活動リズムの異常を再現した。AVPニューロン特異的に固有概日周期を延長させたマウスは、自発活動リズムのフリーラン周期が延長することが明らかになった。またAVPニューロン特異的にGABA作動性シグナリングを欠損させたマウスはSCNニューロン間の同調に異常を来すとの予備的な結果を得た。 これは、SCN・AVPニューロンがSCNニューロン間の同調やSCN神経ネットワークによるpace-makingに重要な役割を担うことを示唆しており、概日リズム中枢・SCNの動作原理を明らかにする上で非常に意義のあるものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ研究計画の通りに、研究が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
Avp-Bmal1-/-マウスについては論文作成を進める。AVPニューロン特異的に固有周期やGABA作動性シグナリングを操作したマウスに関しては、SCNスライスでの発光イメージングを行う。さらに、光遺伝学や薬理遺伝学を用いてSCN・AVPニューロンやVIPニューロンを人為的に活性化させた場合に自発活動リズムのどの様な影響が現れるかを検討するなど、研究調書の計画通りに研究を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
マウスの交配や実験が予想以上に効率的に進んだため、余剰が生じた。 実験計画に沿って、マウス飼育・維持、試薬などに使用する。
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