研究課題/領域番号 |
24390057
|
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
桑木 共之 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (80205260)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 防衛反応 / オレキシン / 小胞グルタミン酸輸送体 / 遺伝子改変マウス / 体温調節 / ストレス / 発熱物質 / 低温環境 |
研究概要 |
本研究の目的は、オレキシンニューロン内に共存するオレキシン以外の神経伝達(修飾)候補物質が防衛反応に果たす役割を検討することである。そのために以下の実験を行った。 (1)オレキシンニューロン特異的vGLUT2欠損マウスの作成とその確認 Vesicular glutamate transporter-2 (vGLUT2)遺伝子にlox-P 配列を挿入したマウスとオレキシンプロモーターの制御下にCre 遺伝子を発現するようにしたマウスとを掛け合わせてオレキシンニューロン特異的vGLUT2欠損マウスを作成した。遺伝子型を尻尾のbiopsyサンプルを用いたPCR解析し、さらに抗vGLUT2抗体と抗オレキシン抗体とを用いた免疫二重染色法で脳切片を染色することによって目的のマウスが出来たことを確認した。また、比較のためのオレキシンニューロン破壊マウスにおいて、その他の体温調節系ニューロンは破壊されていないことを確認した。 (2)共存神経伝達物質候補の役割の解明 オレキシンニューロン特異的vGLUT2欠損マウスおよび関連遺伝子改変マウスを用いて、保定または低温暴露ストレスによる体温反応ならびにエアージェットストレスによる心拍数反応を測定した。防衛反応を構成する生体反応の内、体温上昇に関しては予想どおりオレキシンニューロン内に共存するグルタミン酸の関与が高く、心拍数上昇に関してはオレキシンとグルタミン酸の双方が重要であることが明らかになった。ただし、保定ストレスと低温ストレスとではグルタミン酸の重要度に差があることも示唆された。すなわち、ストレスの種類(入力の差)によっても観察する生体反応の種類(出力の差)によってもオレキシンニューロン内の神経伝達物質には役割分担があることが明確になった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験動物生体を対象にした研究なので個々の実験には時間がかかるものの、着実に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
ストレスの種類(入力の差)と観察する生体反応の種類(出力の差)との組合せには多くのバラエティーがあるので、一つ一つ着実な結果を積み上げて全体像の解明に繋げたい。
|
次年度の研究費の使用計画 |
消耗品の購入にキャンペーン等を利用して節約に努めたためにわずかな直接経費次年度使用額が生じた。 消耗品の価格は流動性が高いので、次年度の研究費に充当する。
|