研究分担者 |
高橋 英夫 近畿大学, 医学部, 教授 (60335627)
劉 克約 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (40432637)
和氣 秀徳 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (60570520)
伊達 勲 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (70236785)
勅使川原 匡 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (40403737)
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研究概要 |
Wister系雄性ラットを用いて、パーカッションインジュリー装置で麻酔下に脳打撃傷害(2.2-2.6Atm)を加え、中等度の神経障害モデルを作製した。受傷直後とさらに6時間後に抗田GB1抗体を尾静脈から投与した。対照動物には、抗KLH抗体を投与した。受傷後3、6、24時間後に経時的にT2強調MRI撮像し脳浮腫を評価した。血液―関門(BBB)の形態を、受傷3時間後に脳を固定し、アストロサイトのエンドフィート腫脹、血管基底膜からの遊離を中心に透過型電子顕微鏡で観察した。BBB透過性亢進の原因になると思われる血管基底膜構造のメタロプロテアーゼによる消化は、MMP-2/9のザイモグラフィーによる酵素活性検出で評価した。脳内炎症関連分子として、TNF-・,iNOS,MMP-2,MMP-9,HIF1・,COX-2,VEGF-A,PAI-1,IL8R,Neutrophil elastaseのmRNA量を、定量的PCRで測定した。神経学的評価は、経時的にロータロッドテストとシリンダーテストを実施した。その結果、抗HMGB1抗体の投与によって脳血管透過性亢進と脳浮腫は85%抑制された。脳内炎症関連因子では、TNF-・,iNosとPAI-1の発現抑制が著明であった。対照動物BBB形態の透過型電顕観察で、受傷後早期からのアストログリア突起の腫脹が明瞭であったが、抗HMGB1抗体の投与によって有意に抑制された。ロータロッドテストとシリンダーテストで評価された運動麻痺神経症状も、抗HMGB1抗体で高い改善効果を示した。一方、組換え体ヒトHMGB1タンパク質の投与は、脳傷害を増悪した。抗HMGB1抗体の有効治療時間帯は少なくとも6時間は得られることを確認した。内因性HMGB1の主要な作用受容体がRAGEであることを、RAGE-、TLR-4-、TLR-2-KOマウスを使って明らかにした。
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