研究課題/領域番号 |
24390061
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
西堀 正洋 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (50135943)
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研究分担者 |
高橋 英夫 近畿大学, 医学部, 教授 (60335627)
劉 克約 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (40432637)
和氣 秀徳 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (60570520)
伊達 勲 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (70236785)
勅使川原 匡 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (40403737)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | HMGB1 / 脳外傷 / 脳腫瘍 / 抗体医薬 |
研究概要 |
Fluid percussion injury ラットモデルにおける局所血液脳関門(BBB)の障害を透過電子顕微鏡像により詳細に解析し、その構造的破綻と、抗HMGB1抗体の保護効果を定量的に明らかにした。つまり、対照動物のBBBでは、アストロサイトエンドフィートの腫脹が顕著であり、エンドフィート細胞形質膜の血管基底膜からの解離がしばしば認められた。これらの変化が抗HMGB1抗体治療を行った群では著明に抑制された。海馬錐体細胞の遅延性細胞死では、受傷後2週の時点でCA1領域の神経細胞の脱落を調べた。その結果、対照群では著明な脱落がみられたのに対し、治療群では保護効果が明らかであった。対照動物ではEpendymal cell layerの増殖像が急性期に認められたが、抗HMGB1抗体投与ラットでは抑制されていた。ピロカルピン誘発性の脳障害、てんかんモデルでも血管透過性の亢進に対する抗HMGB1投与の効果が示された。海馬錐体細胞死の抑制効果も確認された。漢方生薬中の活性成分の一つであるグリチルリチンがHMGB1に直接結合し、HMGB1-RAGE結合を抑制することを明らかにした。野生型マウスで認められたグリチルリチンの効果は、RAGE(-/-)マウスでは消失することがわかった。in vivoで脳外傷モデルに投与したグリチルリチンは、HMGB1への結合とHMGB1のRAGEへの結合阻害を介して脳外傷性障害を抑制するとの結果を得た。マウスの脊髄障害モデルを作製した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脳外傷時のBBB破綻の形態的特徴と、HMGB1の関与を証明できた。痙攣性薬物ピロカルピンによる脳障害にHMGB1が関与することを明らかにできた。HMGB1-RAGE系に作用する薬物としてグリチルリチンを同定した。
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今後の研究の推進方策 |
脳外傷後の血管系変化、特にBBBの破綻とHMGB1の関係は概略を示すことができたので、他の炎症性要素としてのアストロサイトとミクログリアの活性化について解析する。マウスの脊髄損傷のモデルについても抗HMGB1抗体の効果を評価する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年12月にResearch Media Ltd発行の「International Innovation」にて研究成果を発表した。その掲載料$3,600(引落依頼済)の決済が完了しなかったために繰越金が生じた。 平成26年度は、物品費(実験動物・試薬・器具類)1,226,406円、旅費200,000円、人件費1,200,000円、その他(投稿料等)480,000円の使用を見込んでいる。
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