研究課題
基盤研究(B)
ラット脳硬膜上から加えた液体衝撃により作製した脳外傷では、大脳半球の広範な領域に脳血管の透過性亢進を生じ、脳浮腫が惹起された。受傷局所では神経細胞の核内に局在しているHMGB1が細胞質領域から細胞外に放出された。同領域では、血液脳関門の構造破綻とミクログリア細胞の活性化像ならびに細胞数の増加が認められ、炎症性サイトカインの発現が上昇していた。以上の外傷誘発性の炎症応答は、抗HMGB1抗体の受傷後投与により85%抑制された。HMGB1と結合する生薬甘草中活性成分グリチルリチンは、抗体と類似の作用を示した。同様に、マウスの脊髄損傷モデルで抗HMGB1抗体は運動麻痺症状を著明に改善することができた。
医学(薬理学)