研究課題/領域番号 |
24390063
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
矢部 千尋 京都府立医科大学, 医学研究科, 教授 (70150571)
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研究分担者 |
沖垣 光彦 京都府立医科大学, 医学研究科, 准教授 (10333197)
岩田 和実 京都府立医科大学, 医学研究科, 講師 (60305571)
松本 みさき 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教 (80533926)
張 嘉 京都府立医科大学, 医学部, プロジェクト研究員 (50599222)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 糖尿病 / 慢性腎臓病 / 肝臓 / 循環器 / 活性酸素種 |
研究概要 |
我々は血中遊離脂肪酸が増加する高脂肪食負荷ApoEノックアウトマウス(ApoEKO)の肝臓においてNOX1の発現が著明に上昇することを見出し、同時に経時的な血圧上昇を認めたことから(J Pharmacol Sci 111,260-8, 2009)、NOX1ノックアウトマウス(NOXIKO)と同腹野生型マウス(WT)の高脂肪食負荷メタボリックシンドローム(MB)モデルを用いてNOX1の病態生理学的役割を明らかにすることとした。 NOXIKOとWTに10週齢より高脂肪食を負荷し、経時的に体重変化を観察したところ、高脂肪食負荷群では通常食負荷群よりも両遺伝子型で同程度の体重増加を認め、肝臓の中性脂肪含量について両遺伝子型間に差を認めなかった。WTの肝臓では高脂肪食負荷によりNOX1の発現に有意の増加がみられ、ApoEKOと同様の所見を認めた。高脂肪食負荷に伴う血中コレステロールと遊離脂肪酸増加については両遺伝子型で差を認めなかったが、肝臓逸脱酵素ALTの上昇はNOXIKOで有意に抑制されていた。他方、肝臓における炎症性サイトカインIL-1betaとTNF-alphaは両遺伝子型間で差を示さなかった。しかし肝細胞アポトーシスの指標であるcleaved-caspase 3のレベルはNOXIKOで有意に抑制されており、TUNEL陽性細胞もKOでは減少していることが観察された。以上の結果から、MBモデルにおいてNOX1由来の活性酸素種が肝障害の分子病態に関わっていることが明らかとなった。 一方、NOX1トランスジェニックマウス(Nox1Tg)を用いて高脂肪食負荷を行い、血管石灰化に関わるBMP-2とBMP-2アンタゴニストとして働くMGPの発現を検討したが、同腹WTマウスとの間に差を認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高脂肪食負荷メタボリックシンドロームの動物モデルの実験について、次の実験計画につなげる明解な所見を得ることが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
今回得られた動物モデルのデータをもとに肝細胞の単離を行い、さらに分子レベルでの解析を行なう。 研究分担者張が育児中で短時間勤務のため、研究補助員を配置する。
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次年度の研究費の使用計画 |
血圧測定用テレメトリー装置を導入してデータ採取を行なう予定であったが、テイルカフ法による予備的検討にて血圧に差異がみられなかったため、装置の購入を中止した。次年度に研究分担者の短時間勤務を補うために研究補助員を採用するので人件費として充当する。
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