研究課題/領域番号 |
24390063
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
矢部 千尋 (西村 千尋) 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70150571)
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研究分担者 |
岩田 和実 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60305571)
松本 みさき 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80533926)
張 嘉 京都府立医科大学, 医学部, 研究員 (50599222)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 糖尿病 / 腎臓 / 高血圧症 / 慢性腎臓病 / 活性酸素種 / 酸化ストレス |
研究概要 |
腎臓は血圧調節に重要な器官であり,摘出ヘンレ係蹄上行脚 (TAL)を用いた実験ではアンギオテンシン(Ang) II 処置により活性酸素種 ROS が産生され,ROS がNa+ の再吸収を促進するとともに,蛋白キナーゼC (PKC) を介して Na+-K+-2Cl- cotransporter 活性を亢進することが報告されている.しかし TAL における ROS の産生源は明らかでない.腎臓の NOX1由来の ROS が血圧調節に関わっている可能性を追究するために異なるNa+摂取量,すなわち通常食および低塩食給餌下に尿中イオン排泄量を検討した. マウスをメタボリックケージに入れ1匹ずつ7日間飼育し,体重,飲水量,食餌量,尿量,糞量,尿全量中における電解質の排出量を測定した.普通食,および低塩分食給餌下ともすべての項目において野生型マウス (WT) と Nox1 遺伝子欠損マウス (KO) に有意な差を認めなかった.続いて Ang II 投与による高血圧モデルを作製し解析を行ったが,すべての項目について両遺伝子型マウス間に差を認めなかった. 一方,1型糖尿病モデルの腎臓で NOX1 の発現が著明に上昇することから,ストレプトゾトシンで高血糖を誘発し,3~8週後NOX1 発現上昇に伴う腎機能の変化を解析した.腎機能については血中 BUN,血中および尿中クレアチニン,尿中アルブミン,尿細管傷害のマーカー N-acetyl-beta-D-glucosaminidase 濃度を測定したが,いずれの遺伝子型マウスについても同様の変化を示し,差異を認めなかった.組織の炎症反応や線維化に関わる諸種の遺伝子の発現についても両遺伝子型間に差は無かったが,酸化ストレス亢進による DNA 傷害の指標である尿中 8-OHDG と組織脂質過酸化の指標である TBARS については顕著な上昇を示す WT に比し, KO で低値を示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
腎機能解析および慢性腎臓病モデルにおける解析はほぼ計画どうりの検討を終了した.
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今後の研究の推進方策 |
ここまでの動物を用いた解析で得られた所見の一部は当初の予測と異なっているが,今後は肝臓と腎臓の病態生理について細胞および分子レベルでの解析を進める.
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次年度の研究費の使用計画 |
研究分担者の短時間勤務を補うために研究補助員を採用したが、学生であったため予定どうりの執務時間がとれなかった。また、当該分担者が途中退職したので本人の使用する物品費が減少した。 研究分担者の減少を補い滞り無く研究計画を推進するため、研究補助員の人件費として充当する。
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