研究課題
血中のエクソソームは、夾雑物が多く、エクソソーム中のタンパク質発現解析を行うためには、純度の高いエクソソームの精製が重要となる。これまで最も純度の高い精製法として用いられてきた密度濃度勾配法は回収率が低く、また超遠心を繰り返すため数日掛かることが短所であった。そこで、これらの問題点を解決するためにゲルろ過法を用いたエクソソームの精製を試みた。血清の超遠心画分から得た粗雑なエキソソームをカラムに供して得られた23画分から、タンパク質(280 nm)を含む11画分を選択した。さらにそれらの画分の粒子径を測定して、エクソソームを含む画分を同定した。細胞由来エクソソームは、ラット血清由来エクソソームと同じ画分に存在した。この方法は、異なる粒子サイズのエクソソームを分離できる可能性があり、新しいエクソソームの分離・精製法として有用だと考える。前年度までに、高血圧モデルラットの血清由来エクソソームによる内皮培養細胞でのICAM-1など炎症マーカーの誘導を報告した。このエクソソーム中には、マクロファージマーカー分子が検出されたことから、マクロファージ由来エクソソームが内皮細胞に及ぼす影響を明らかにすることとした。THP-1マクロファージ由来エクソソームは、約5-15分の短時間にERKおよびp35MAPKなどのリン酸化シグナルを引き起こした。さらに、本細胞由来エクソソームの刺激後24時間でICAM-1発現の増大が見られた。以上の結果より、マクロファージ由来エクソソームは、内皮細胞において炎症シグナルを引き起こすことが明らかになった。ラットの下肢を一過性の虚血状態を繰り返し行うことで、心臓リモデリングの進展を抑制できた。骨格筋C2C12細胞を低酸素状態にすると、放出されるエクソソーム中に線維化を抑制するマイクロRNAや心保護作用に関与するタンパク質が増加することを初めて明らかにした。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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