研究課題
これまでの申請者らの研究により、癌化制御におけるTRIMファミリーユビキチンリガーゼ群の重要性が明らかとなった。特に細胞の増殖及び分化過程で重要な核内受容体(転写因子)の制御に、TRIMファミリーユビキチンリガーゼの関与していることが示唆された。実際、乳癌や前立腺癌などはホルモン依存性に増殖し、ある種のホルモンは核内受容体(転写因子)と相互作用することで多様な遺伝子発現を促すことが知られている。本申請においては、プロテオミクス的手法(質量分析計)により、核内受容体のユビキチン化に関与するTRIM型ユビキチンリガーゼを網羅的に解析することで、癌化の機序を解明し、癌の悪性度や早期診断等への応用に向けた検討(バイオマーカー検索)を行っている。実際に、転写因子(核内受容体)関連TRIMタンパク質を生化学的及び細胞生物学的手法により、いくつかのTRIMタンパク質において細胞増殖や分化に関する新たな機能が判明してきており、現在はその詳細な解析を進めている。また、組織学的解析もしくは組織病理学的解析の結果、ある種のTRIMタンパク質の発現を調べることにより、がんのバイオマーカー的指標として役立つことが明らかになってきた。以上より、TRIMタンパク質によるユビキチン化翻訳後修飾の基盤研究により、さまざまな核内受容体を含む転写因子の制御メカニズムの解明が進み、さらにはそれらが関係する多くの疾患の解明と応用(バイオマーカーの同定と創薬ターゲットの検出)に結びつけることが期待できる。
2: おおむね順調に進展している
今年度に計画していた実験の遂行が概ねできており、来年度も計画通りにさらに研究を発展させる段階にあるから。
概ね計画通りに遂行されているので、現在のところ、変更や課題点はない。
すべて 2015 2014 2013
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 2件) 図書 (1件)
Oncogene
巻: 34 ページ: 1280-1291
10.1038/onc.2014.68
Acta Histochem.
巻: 116 ページ: 708-712
10.1016/j.acthis.2013.12.009
J. Cell. Sci.
巻: 126 ページ: 2014-2026
10.1242/jcs.122069
J. Bone Mineral Res.
巻: 28 ページ: 2463-2475
10.1002/jbmr.1989
J. Neurol.
巻: 261 ページ: 224-226
10.1007/s00415-013-7134-5