研究課題
近年、癌化制御におけるTRIMファミリーユビキチンリガーゼ群の重要性が明らかとなっている。特に細胞の増殖及び分化過程で重要な核内受容体(転写因子)の制御に、TRIMファミリーユビキチンリガーゼが関与していることが示唆されている。実際、乳癌や前立腺癌などはホルモン依存性に増殖し、ある種のホルモンは核内受容体(転写因子)と相互作用することで多様な遺伝子発現を促すことが知られている。本申請においては、プロテオミクス的手法(質量分析計)により、核内受容体のユビキチン化に関与するTRIM型ユビキチンリガーゼを網羅的に解析することで、癌化の機序を解明し、癌の悪性度や早期診断等への応用に向けた検討(バイオマーカー検索)を行った。TRIM29が前立腺組織におけるバイオマーカーとして役立つ可能性を見出した。正常な前立腺は、腺細胞及び基底細胞から構成されており、基底細胞が腺細胞の周囲に存在する。臨床的に、基底細胞は前立腺がんにおいて、消失することが知られている。我々は正常前立腺組織の基底細胞にTRIM29が特異的に発現していることを発見した。そして、抗TRIM29抗体を使用した免疫組織化学染色により、前立腺がん組織においてTRIM29陽性基底細胞が消失(減少)していることが明らかとなり、TRIM29が前立腺がんの診断マーカーとして有用であることが判明した。また、脂肪細胞において、TRIM23が核内転写因子であるPPARの活性を制御することを見出した。TRIM23はPPARタンパク質発現量を調節することで、PPARが関与する脂肪細胞分化に影響をもたらせた。これらの結果は、高脂血症や糖尿病の病態生理を理解する上で臨床的に重要な知見と思われ、今後疾患バイオマーカーや治療シーズとして貢献することが期待できる。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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