研究概要 |
本年度は、Rab27エフェクターの1つexophilin7が、あらかじめ細胞膜に接着していない非ドッキング顆粒の開口放出を促進すること、またこの機能にはそのC2Aドメインのリン脂質結合活性が必須であることを見出した。この知見は、非ドッキング顆粒の開口放出に関する分子機構の一端を初めて明らかにしたのみならず、膵β細胞において2つの異なるRab27エフェクターgranuphilinとexophilin7が、それぞれドッキング顆粒と非ドッキング顆粒の開口放出を制御していることを示したものとして重要である(Wang et al., Mol. Biol. Cell, 24, 319-30, 2013)。またより細胞深部で働いていると考えられるRab27エフェクターexophilin8については、2種の遺伝子改変マウスの作製を終了し、耐糖能、インスリン分泌能などの個体レベルでの表現型を解析中である。また我々が同定しているRab27および他の特定Rabとも結合するデュアルエフェクターについては、その細胞内局在、分泌への効果、おのおののRabとの結合活性を失った変異体同定など、分子・細胞レベルでの解析が進んでいる。その結果、2種類のRabとの結合活性が、顆粒の細胞内局在に異なる効果を有している可能性を示唆する予備的知見を得ている。今後、本分子のRab結合活性が分泌顆粒の成熟や開口放出にどのような役割を有しているか、詳細に解析する予定である。
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