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2013 年度 実績報告書

DNA複製開始制御における新規機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 24390072
研究機関浜松医科大学

研究代表者

丹伊田 浩行  浜松医科大学, 医学部, 准教授 (20336671)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードDNA複製 / ライセンシング / DNAダメージ
研究概要

真核生物の細胞が増殖する時に遺伝情報がコードされている染色体DNAは細胞分裂毎に厳密に一回だけ複製されなければならない。DNA複製の過不足はただちに遺伝情報の変異を誘発し、癌などの疾病の発症原因となる。細胞はDNA複製の厳密さを担保するために複製起点をライセンシング化している。
我々はDNA損傷がG1期に発生した時にDNA修復が完了するまでライセンシングを抑制する機構が存在するのではないかと考えて、チェックポイントにより制御されうるライセンシング因子を探索した。この結果、ATM/ATRはチェックポイント機構に重要なキナーゼであるが、このキナーゼの基質となるコンセンサス配列pSQ/TQがUVダメージ後にリン酸化されるライセンシングco-factor, HBO1ヒストンアセチルトランスフェラーゼを同定した。HBO1はCDT1依存的に複製起点にリクルートされ、周辺領域をアセチル化することによりMCM複合体のローディングを促すと報告されている。
我々はHBO1のリン酸化の意義を明らかにするために解析を行った結果、ATM/ATR依存的なHBO1のリン酸化はHBO1の複製起点からの解離に必須であることを見出した。また、このリン酸化を阻害するとUV照射後においてMCM複合体のクロマチンへのローディングを抑制できず、DNAダメージ後のG1からS期への細胞周期停止に欠陥をきたすことがわかった。この原因を明らかにするためHBO1とCDT1の結合部位をFluoChase assayを用いて検討するとHBO1はCDT1のダメージ依存的分解に必須であるPIP boxを含む領域に結合している事を明らかにした。このためリン酸化の阻害によりHBO1が複製起点に維持され続けるとCDT1の分解を抑制するのであろうと予測される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

DNA複製開始機構についてDNAダメージチェックポイントによるHBO1を介した新たな抑制機構を解明している事から。

今後の研究の推進方策

HBO1と複製開始機構に関して以下の様な検討を行う。
1. HBO1とCDT1およびJADE-1S3者間の結合様式を検討する。
2. HBO1 S/TQ部位のリン酸化後のタンパク分解について検討する。
3. HBO1 S/TQ部位のリン酸化を阻害した時の複製起点の発火までの時間を測定する。
4. HBO1 S/TQ発現細胞の変異率を測定する。

次年度の研究費の使用計画

CDT1の分解にHBO1との結合が影響する事が明らかになった事で構造解析を行う必要があるため。
biacoreなどを用いてHBO1とCDT1, HBO1とJADE-1Sの結合親和性を検討するために使用する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] YB1 binds to and represses the p16 tumor suppressor gene.2013

    • 著者名/発表者名
      Kotake Y, Ozawa Y, Harada M, Kitagawa K, Niida H, Morita Y, Tanaka K, Suda T, Kitagawa M.
    • 雑誌名

      Genes Cells.

      巻: 11 ページ: 999-1006

    • DOI

      10.1111/gtc.12093.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Cell cycle regulation by long non-coding RNAs.2013

    • 著者名/発表者名
      Kitagawa M, Kitagawa K, Kotake Y, Niida H, Ohhata T.
    • 雑誌名

      Cell Mol Life Sci.

      巻: 24 ページ: 4785-4794

    • DOI

      10.1007/s00018-013-1423-0.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Involvement of ribonucleotide reductase-M1 in 5-fluorouracil‑induced DNA damage in esophageal cancer cell lines.2013

    • 著者名/発表者名
      Aoki Y, Sakogawa K, Hihara J, Emi M, Hamai Y, Kono K, Shi L, Sun J, Kitao H, Ikura T, Niida H, Nakanishi M, Okada M, Tashiro S.
    • 雑誌名

      Int J Oncol.

      巻: 6 ページ: 1951-1960

    • DOI

      10.3892/ijo.2013.1899.

    • 査読あり
  • [学会発表] ATM/ATR-dependent phosphorylation dissociates HBO1 from replication origin2013

    • 著者名/発表者名
      Hiroyuki Niida
    • 学会等名
      第36回に本分子生物学会年会
    • 発表場所
      神戸国際会議場
    • 年月日
      20131203-20131206
  • [学会発表] UV損傷における複製ライセンスファクターの制御2013

    • 著者名/発表者名
      Hiroyuki Niida
    • 学会等名
      日本放射線影響学会第56回大会
    • 発表場所
      ホテルクラウンパレス青森
    • 年月日
      20131018-20131020
    • 招待講演
  • [学会発表] Regulation of Licensing by Cell Cycle Checkpoint2013

    • 著者名/発表者名
      Hiroyuki Niida
    • 学会等名
      第65回日本細胞生物学会大会
    • 発表場所
      ウインクあいち
    • 年月日
      20130619-20130621
    • 招待講演

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公開日: 2015-05-28  

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