研究課題
『CD4T 細胞から誘導されたCD8T 細胞』をin vitro で作成し、各種自己免疫疾患モデルマウスに移植することによって、自己免疫疾患を抑える活性を検討した。1.多発性硬化症 (Multiple sclerosi, MS)のモデルマウスとしてはCD4 の認識する自己抗原MOGを免疫する事によって誘導されるExperimental allergic encephalomyelitis (EAE)の系を用いた。2.全身性エリテマトーデス(Systemic lupus erythematosus, SLE)のモデルマウスとしては、ミネラルオイル(Pristane)を腹腔投与する病態モデルを使用した。この系においてまず、自己抗体産生、腎炎発症を病態のマーカーとして、SLE を抑える活性をもつか評価し、この時の機能細胞と考えられている細胞『TFH 細胞、Germinal center B細胞、plasma cell、macrophage 細胞』のどの細胞がターゲットとなっているかを調べた。3.自己免疫性腸炎のモデルマウスとしてRAG2-/-マウスにnaiveCD4T 細胞を移植する系を用いた。移植後の体重変化をモニターする事により、腸炎を抑制する活性をもつか評価する。さらに、様々な免疫担当細胞をFACS で調べ、どの細胞が直接のターゲットであるか検索した。CD4由来CD8aaT細胞の影響は実験ごとにかなりぶれることが明らかになった。その一方で、CD4由来CD8aaT細胞は免疫反応を抑制するというより、増悪する印象を受けた。
3: やや遅れている
大部分は、実験計画通りに進んでいる。しかし、当初予想していた通り、抗原特異性を考慮した実験を行わないと、『CD4由来CD8aaT細胞』の正しい性質を捕まえることが難しそうなことが明らかになってきた。この実験に必要な様々な遺伝子改変マウスの交配がうまく進まないことから、実験計画が遅れている。
抗原特異性を考えた実験を行う。このために、様々なT細胞受容体のトランスジェニックマウスや、B細胞受容体のノックインマウス、RAG2欠損マウスなどを使用して『CD4由来CD8aaT細胞』の機能解析を行う。さらに、遺伝子改変マウスを作成した方が実験を遂行する上で有利な点が多くなりそうなことも明らかになったため、この準備も合わせて進めていく。
今年行った実験結果から、抗原特異的反応が見える系を用いて研究を進めないと、CD4由来CD8aaT細胞の性質を正しく理解できない可能性が出てきた。この可能性は、当初の実験計画でも考えていたが、実際に行う必要のあることが明らかになった。この実験に必要な様々な遺伝子改変マウスの交配がうまく進まないことから、今年度の実験計画が遅れているため、この実験を次年度も引き続き行う。さらに、この研究課題を遂行する上で、遺伝子改変マウスを作成する必要性も明らかになったため、この実験にも着手しましたが、これも来年度までかかりそうな状況になっている。必要なマウスを確保するために、さらなる交配を持続する必要が生じている。これらのマウスを用いた実験、データ解析、さらには、この実験に関する研究打ち合わせ、成果発表が実施できていない。さらに、遺伝子改変マウス作成に必要な分子生物学的実験を行っている。実験期間の延長により、実験用消耗品、研究打ち合わせ旅費、データ解析謝金、成果発表のための印刷費が次年度に必要である。
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