研究課題/領域番号 |
24390078
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
古川 鋼一 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (80211530)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 複合糖質 / 糖脂質 / ミクロドメイン / リガンド / シグナル |
研究概要 |
1.ガングリオシドGD3を標的にして実施したEMARS (Enzyme-mediated activation of radical sources)反応で標識した、GD3関連膜分子の解析を進めた。 2.その中で、GD3発現メラノーマ細胞の脂質ラフトに特異的に認められたNeogeninの機能に関して、詳細な解析を行った。その結果、免疫沈降実験によって、GD3とNeogeninの結合が確認された。また、Neogenin強制発現細胞において、細胞増殖能、浸潤能の亢進が認められた。さらに、Neogeninに対するノックダウンを行い、著明な発現低下に伴う浸潤能の低下が認められた。 これらの結果より、Neogeninが、GD3発現によって誘導されるメラノーマの悪性形質の、実際のエフェクターであることが示唆された。 3.さらに、ガングリオシドGD2を標的にしたEMARS反応/標識を行うために、GD2のみを発現するメラノーマ亜株を樹立して、抗GD2抗体を用いたEMARS反応を行った。有意の標識分子を確認して、現在、質量分析による解析を行っている。 4.メラノーマにおけるジシアリルガングリオシドと対照的に、モノシアリルガングリオシドであるGM1が、癌細胞の形質を抑制することが分かっているので、メラノーマN1細胞から、GM2発現、GM1発現細胞株を樹立して、細胞形質の特徴を明らかにしてきた。現在、これらのガングリオシドを標的にしたEMARS反応を準備中である。 5.GM1発現メラノーマ細胞を用いたGM1の1分子観察において、2量対形成時間を観察したところ、GD3発現細胞やGM3発現細胞に比べて、GM1発現細胞においてGM1のダイマー形成時間が短縮していた。即ち、GM1同士が特異的にダイマーを形成していることが実証された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
GD3関連膜分子であるNeogeninの局在や機能解析が大きく前進した。また、予定していた他の糖鎖を用いたEMARS反応に関して、GD2を用いた反応を実行して、質量分析を進めつつあることから、順調な進展といえる。
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今後の研究の推進方策 |
GD3に続いて、GD2、GM2、GM1、GDlalphaなどを標的にしたEMARS反応を行い、各糖鎖に集籏する分子群の全体像を明らかにする中で、脂質ラフトのheterogeneityの実体を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
標識したGD2関連膜分子の同定を早急に行い、またその確認のための免疫沈降・イムノブロッティング等の実験を早めに進める。
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