研究課題/領域番号 |
24390079
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
武川 睦寛 東京大学, 医科学研究所, 教授 (30322332)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 中心体 / ストレス応答 / p53 / PLK |
研究概要 |
紡錘体内で微小管の重合中心となる中心体は、G1期には1つしかないが、G2期までに複製されて倍加し、M期には紡錘体を形成する2つの極として機能することで、娘細胞への染色体の均等分配に本質的な役割を果たしている。中心体を正しく複製し、その数を制御することは、細胞分裂に極めて重要であり、一方、その異常は染色体の異数化や転座の原因となる。特に癌細胞では、様々なストレス刺激に応答して中心体の過剰複製が起こることが報告されており、また中心体数の異常が癌の更なる悪性化を招いて、患者の生命予後を悪化させることも示されている。一方、正常な細胞では中心体数は厳密に制御されており、ストレス環境下でも中心体の複製異常は起こらないが、そのメカニズムは不明である。 本研究において我々は、様々なストレス刺激に応答して活性化される2つの細胞内シグナル伝達システム、即ちストレス応答MAPキナーゼ経路とp53経路が、協調して中心体複製の鍵分子であるPLK4の活性を調節しており、ストレス環境下での中心体複製停止と染色体安定性の保持に重要な役割を果たしていることを見出した。 また、癌細胞で高率に観察されるMKK4(p38/JNK経路のMAPKK)およびp53の遺伝子変異によって、中心体の複製制御機構が破綻し、DNA損傷などのストレス刺激に応じて中心体の過剰複製とそれに伴う染色体の異数化が誘導されることを明らかにした。これまで、MKK4は癌抑制遺伝子として機能すると考えられてきたが、その発癌抑制メカニズムは不明であった。我々は、MKK4がストレス環境下でp53と協調して機能し、中心体の過剰複製と染色体不安定性を防御する新たなタイプの癌抑制遺伝子であることを示した。また、今年度はさらに、ストレス応答MAPKによる中心体複製制御機構の解析を進め、複数の新たな中心体複製制御分子を同定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究開始当初の目標であった3つの項目、即ち、1)ストレス応答MAPKによるPLK4活性制御機構の解明、2)p38/JNK経路による細胞機能制御機構の解明、および3)p38/JNK経路とPLK経路のクロストーク異常による染色体不安定性と発癌機構の解明、に関してそれぞれ研究を進め、既に目標をほぼ達成して、論文を発表した。さらに、研究開始当初には予期していなかった複数の新知見が得られており、今後更なる研究の進展が期待される。
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今後の研究の推進方策 |
現在、ストレス応答MAPKによる中心体複製制御と染色体安定性保持機構の解析を進めており、幾つかの新たな中心体複製制御分子を同定することに成功している。今後更にこれらの分子の機能調節メカニズムと生理機能を解明する。また中心体複製制御の基本原理を解明すると共に、ストレス環境下におけるその制御を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
翻訳後修飾された蛋白質に対する特異抗体の作成が次年度に持ち越されたため、次年度使用額が生じた。 次年度の早期に抗体作製を終了する予定である。
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