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2012 年度 実績報告書

上皮間葉転換を伴う炎症や癌の進展におけるWnt5a-Rorシグナルの分子病態解析

研究課題

研究課題/領域番号 24390080
研究種目

基盤研究(B)

研究機関神戸大学

研究代表者

南 康博  神戸大学, 医学研究科, 教授 (70229772)

研究分担者 西田 満  神戸大学, 医学研究科, 准教授 (30379359)
遠藤 光晴  神戸大学, 医学研究科, 助教 (90436444)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードWnt5a-Ror / シグナル伝達 / 上皮間葉転換 / 炎症 / 癌
研究概要

本研究では、遷延化した炎症(腎線維症など)での上皮間葉転換(EMT:epithelial mesenchymal transition)に伴うWnt5a-Rorシグナルの活性化に焦点を当て、線維症などの進行性病態におけるこのシグナルの役割を分子・細胞・組織/器官レベルでのシームレスな解析により明らかにすることを目的としている。本年度の研究では、片側尿管閉塞(UUO:unilateral ureteral obstruction)実験による腎線維症モデル、ブレオマイシン誘発性肺線維症モデル等の作製及びこれら疾患モデルでのWnt5a-Rorシグナルの活性化動態・機能解析を行った。その結果、UUO処理による腎線維症モデルにおいて、TGF-βの産生に伴うTGF-βシグナルの活性化に伴う尿細管上皮細胞のEMT誘導に伴い、損傷を受けた尿細管上皮細胞においてWnt5a、Ror2の発現が誘導され、Wnt5a-Ror2シグナルが活性化されることが見出された。また、尿細管上皮細胞において活性化されたWnt5a-Ror2シグナルによりMMP(matrix metalloproteinase)-2の発現・産生が亢進し、その結果尿細管基底膜が破壊されることが明らかになり、腎線維症におけるWnt5a-Ror2シグナルの重要性が示された。また、腎線維化において間質にαSMA陽性・Ror2陽性の活性化筋線維芽細胞が検出されることから、EMTを起こした尿細管上皮細胞も腎線維化に寄与することが示唆される。また、ブレオマイシン誘発性肺線維症モデルにおいても、Ror2の発現誘導が検出された。さらに、次年度に向けてWnt5aのおとり受容体の産生・精製を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度の研究により、腎線維症の病態におけるWnt5a-Ror2シグナルの活性化動態や機能が明らかとなり、その成果の論文発表に繋がったため、一定の成果を挙げることができたと考えている。また、次年度に向けたブレオマイシン誘発性肺線維症モデルでの予備実験やおとり受容体の作製も順調である。各種コンディショナルKOマウス作製の準備状況も概ね良好であるが、それらを用いた実験の開始には至っていない。

今後の研究の推進方策

上記のように、今後細胞種・組織特異的KOマウスを用いた病態モデル解析やメタボローム解析も予定通り行う計画である。本年度ではLPS誘発性神経炎症モデルの作製・解析に至らなかったが、今後実験条件を検討した上で、解析を進めていく計画である。

次年度の研究費の使用計画

本年度では培養細胞を用いた解析やメタボローム解析の実施には至らなかったため当該助成金が生じたが、翌年度の研究費と合わせて、これらの解析や細胞種・組織特異的KOマウスを用いた病態モデル解析も精力的に行う予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Activation of Wnt5a-Ror2 signaling associated with epithelial-to-mesenchymal transition (EMT) of tubular epithelial cells during renal fibrosis.2013

    • 著者名/発表者名
      Li, X., Yamagata, K., Nishita, M., Endo, M., Arfian, N., Rikitake, Y., Emoto, N., Hirata, K., Tanaka, Y., Minami, Y.
    • 雑誌名

      Genes Cells

      巻: 18 ページ: 608, 619

    • DOI

      10.1111/gtc.12064

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Ror-family receptor tyrosine kinases regulate maintenance of neural progenitor cells in the developing neocortex.2012

    • 著者名/発表者名
      Endo, M., Doi, R., Nishita, M., Minami. Y.
    • 雑誌名

      J. Cell Sci.

      巻: 125 ページ: 2017-2029

    • DOI

      doi:10.1242/jcs.097782

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 非古典的Wntシグナルによる極性と幹細胞性維持の制御2012

    • 著者名/発表者名
      遠藤光晴、南康博
    • 雑誌名

      生体の科学(特集 : 細胞極性の制御)

      巻: 63 ページ: 224-228

  • [学会発表] 骨格筋分化・再生モデルを用いたRorシグナルの機能解析2012

    • 著者名/発表者名
      土井亮介、遠藤光晴、南康博
    • 学会等名
      第35回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      福岡国際会議場・マリンメッセ
    • 年月日
      2012-12-14
  • [学会発表] マウス腎臓発生におけるWnt5a-Ror2シグナルの役割2012

    • 著者名/発表者名
      西田満、喬森、宮本真理、山田真紀子、大谷浩、Christine Hartmann、西中村隆一、南康博
    • 学会等名
      第35回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      福岡国際会議場・マリンメッセ
    • 年月日
      2012-12-14
  • [図書] The Receptor Tyrosine Kinase Handbook (chapter : Ror receptor family)2013

    • 著者名/発表者名
      Endo, M., Nishita, M., Doi, R., Minami, Y.
    • 出版者
      Springer Science(印刷中) (掲載確定)
  • [備考]

    • URL

      http://www.med.kobe-u.ac.jp/medzoo/

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公開日: 2014-07-16  

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