研究課題
細胞内のプロテオスタシス容量はある一定に保たれており、蛋白質凝集体が蓄積して細胞毒性を発揮するかどうかはこの容量と関連している。近年、プロテオスタシス容量を調節する転写因子HSFが、非ストレス条件下でもその維持に働くことが示唆されてきた。本研究では、常にDNA結合型であるHSF4の活性調節機構を解明することを目的とする。これまでに、SDCCAG3がHSF4のリン酸化とDNA結合活性を促進することでHSP70の転写を亢進することを見いだしている。さらに、HSF4はMEF細胞において多くの標的遺伝子の制御に関わることを示した。本年度は、マウス個体でHSF4発現の高い組織を明らかにし、HSF4-SDCCAG3複合体がクロマチン構造を調節する機構を明らかにする。HSF4はレンズ組織で高い発現を示すことが知られているが、同時にほとんど全ての組織で発現していることがmRNAのレベルで示されている。しかし、これまでに組織中のHSF4を高感度に検出する抗体がなかったために蛋白質レベルでの発現については知られていなかった。今回、申請者らの作成した抗HSF4抗体を用いたウエスタンブロット法により、ほとんどのマウス組織でHSF4発現を蛋白質レベルではじめて検出した。HSF4発現はレンズとともに、脳、肺、肝臓で高かった。さらに、脳の中でも視床下部でHSF4 がmRNAレベルおよび蛋白質レベルでともに高い発現を認めた。この発現パターンは、小脳で高発現であるHSF1とHSF2とは対照的であった。次に、視床下部の核抽出液のDNA結合活性を調べたところ、確かにHSF1とHSF2だけでなくHSF4の結合活性もあることが分った。今後、この視床下部での生理的条件下でのHSF4ターゲット遺伝子を明らかにし、HSF4-SDCCAG3複合体によるクロマチン調節機構を明らかにしてゆく。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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