研究課題
脊髄小脳失調症36型(SCA36)の原因遺伝子変異は、nucleolar protein 56 (NOP56)遺伝子イントロン1に存在する非翻訳領域GGCCTGリピート伸長である(Kobayashi H, Abe K, Matsuura T, et al. Am J Hum Genet 2011))。患者リンパ芽球を用いて、RNA-FISHで核内GGCCUG RNA凝集物(RNA foci)検出に成功した。その核内局在を明らかにするため、 免疫蛍光法(IF)を組み合わせたFISH-IF法で、核膜 (抗Lamin B1抗体)、核小体(抗nucleolin抗体)、PML小体(抗PML抗体)、Cajal小体(抗Coilin抗体)、スプライシングスペックル(抗SC35抗体) 等との共局在をFISH-IFにより共焦点レーザー顕微鏡で観察した。GGCCUG RNA fociの局在は、スプライシングスペックルと一致していた。また、ゲルシフトアッセイ法によりGGCCUG結合タンパクとしてSRSF2というRNA結合タンパクが同定された。また、GGCCTG伸長変異の19bp下流にあるmiR1292発現が減少しており、FISH法でmiR1292がGGCCUG RNA fociに取り込まれているためと判明した。同じく非翻訳領域リピート伸長病であるSCA10、筋強直性ジストロフィー1型・2型(DM1・DM2)のリンパ芽球を用いて同様に比較解析したところ、それぞれのRNA fociの核内局在とRNA結合タンパクはそれぞれ異なり、分子病態メカニズムも異なることが示唆された。
2: おおむね順調に進展している
SCA36のGGCCUG fociの核内局在とGGCCUG-RNA結合タンパクを同定し、他の非翻訳領域リピート伸長病と比較検討できた。
計画通り、他の非翻訳領域リピート伸長病である、SCA10、SCA31、脆弱X随伴振戦失調症候群 (Fragile X-associated tremor/ataxia syndrome: FXTAS) にも解析を展開し、それぞれのリピート不安定機構と複雑なRNA病態メカニズムを明らかにする。
他の非翻訳領域リピート伸長病である、SCA10、SCA31、脆弱X随伴振戦失調症候群 (Fragile X-associated tremor/ataxia syndrome: FXTAS)の解析まで研究を展開し得なかった。引き続きSCA10, SCA31, FXTASの解析にも着手し、比較解析も同時に進める。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)
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