研究課題
【コホートの拡大と疾患発症追跡調査】愛媛大学病院で申請者らが実施する抗加齢ドックの利用者を対象に、動脈硬化性疾患等に関する長期縦断疫学研究を継続的に実施している。新たに約280名(再受診者含む)の臨床データを収集するとともに、採血からゲノムDNAを抽出してバンク化した。循環器疾患(脳卒中・心筋梗塞)の追跡調査を行い、90%以上をフォローしている。滋賀地域住民コホート、大迫研究においても、臨床情報の再収集(繰り返し調査等)や追跡調査を予定通り行った。【感受性遺伝子解析】ゲノムワイド関連解析(GWAS)の国際共同研究から、いくつかの臨床形質について新しい感受性遺伝子を同定した。具体的には、東アジア人を対象とした検討から、TMEM79などアジア人特異的にHbA1cと関連する遺伝子を同定した(Diabetes)。また、WDR11-FGFR2遺伝子領域が、東アジア人特異的に血中アディポネクチン濃度と関連することも見いだした(Hum Mol Genet)。平均血圧のGWASでは人種特異的な感受性遺伝子は同定されず、白人と東アジア人で多くの感受性遺伝子を共有していることを示した(Hypertension)。長期縦断的な解析では、抗動脈硬化作用を持つアディポネクチンと総死亡との関連がCDH13遺伝子多型の影響を受けることを解明した(Diabetes care)。アディポネクチンの血中濃度の高値は、その生理機能に反して心血管系イベントのリスクになる。今回、アディポネクチン受容体であるCDH13の多型が両者の関連に交絡することを明示したことで、受容体の機能低下による代償的なアディポネクチン増加が、高アディポネクチンが総死亡と関連する1つの要因であることが明らかになった。同様のことは、CDH13遺伝子多型と代謝性マーカーとの関連をみた国際共同研究(Diabetes)の成果からも裏付けられている。
1: 当初の計画以上に進展している
コホート調査、ゲノム解析を順調に進め、英文原著6報を発表した。
コホートの拡大、ベースライン調査については、今後も予定通り進める。データの分析については、これまで通り横断面での解析を進め、症例数の蓄積をまって長期縦断的な解析も行う。研究計画に大きな変更はない。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)
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