研究成果の概要 |
胃の腺粘液は糖鎖の末端にα1,4結合したN-アセチルグルコサミン残基(αGlcNAc)を含んでおり、この糖鎖はピロリ菌に対して抗菌的に作用すると共に、慢性炎症を抑えることで胃癌の発生を防御している。本研究ではヒト胃粘膜病変(胃癌、幽門腺型腺腫、慢性萎縮性胃炎)とバレット食道におけるαGlcNAcの発現とその病理学的意義を解析し、αGlcNAcの低下・消失は胃分化型癌や幽門腺型腺腫の悪性度に相関すると共に、慢性萎縮性胃炎とバレット食道ではそれぞれ胃分化型癌とバレット腺癌発生の危険因子となり得ることを示した。また、αGlcNAcによる胃癌発生機構の更なる解明に向け、新規遺伝子改変マウスを作出した。
|