研究課題/領域番号 |
24390087
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
吉田 利通 三重大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80166959)
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研究分担者 |
紅林 淳一 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (10248255)
田中 典子 (花村 典子) 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (60437100)
小塚 祐司 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (50378311)
下條 尚志 三重大学, 医学部, 技術員 (70410751)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 乳癌 / 癌進展 / 微小環境 / プロテオミクス / リン酸化 |
研究概要 |
本研究では、増殖因子・細胞外マトリックスなどで構成される癌組織内の微小環境からのチロシン(Tyr)リン酸化シグナルを対象として、実際の乳癌組織と培養細胞モデルのリン酸化タンパクとその部位を、リン酸化プロテオミクスの手法で比較する。これにより、リン酸化部位特異抗体による免疫組織化学研究に科学的な根拠を与える。プロテオミクス解析で関与シグナル分子とTyrリン酸化部位を網羅的に同定することにより、癌浸潤などの機構を研究するために有用な新規のリン酸化部位とその特異抗体を提供する。また、癌幹細胞のシグナルについてもプロテオミクス解析で検討する。これらの目的を達成するために、1)ヒト乳癌組織内のTyrリン酸化のプロテオミクス解析、2)微小環境を再構成した培養細胞を用いたTyrリン酸化と細胞機能との関連、3)ヒト乳癌組織内でのTyrリン酸化シグナルの免疫組織化学による解析、4)Tyrリン酸化と癌幹細胞との関連の解析を行っている。24年度では、1)10例のヒト乳癌組織から、正常部、癌境界部、癌中心部をそれぞれ採取し、タンパク試料を採取した。この試料のプロテオミクス解析に先んじて、2)の培養細胞サンプルのプロテオミクス解析を行い、細胞外マトリックスタンパクTenascin-C(TNC)とTGF-β1の添加がSRCとFAKのリン酸化を亢進させることを2D-WBで確認した。リン酸化チロシン抗体によるWBでも処理前後で差異が見られたものの顕著ではなく、検出が困難であることが示唆された。 3}では1)で採取された組織を特殊な固定液を用いることにより、すくなくともFAK925の癌細胞での意味があると考えられる染色像を検出でき、他の抗体でも可能性がある染色像が観察できた。4)では、MDA-MB-231乳癌細胞株へのTNC+TGF-β1添加により、乳癌幹細胞の分画が2倍に増加することが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
タンパクの2DゲルおよびそのWestern blotの解析は出来ているが、はっきりとした差異を示すスポットの確定およびその微量なタンパクのマススペクトロメトリーを行い検出するのがかなり困難であることがわかった。また、微量な検出を行う最新のマススペクトロメトリーの装置の本格的な稼動が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
上記の理由により、マススペクトロメトリー解析に遅延が生じた。リン酸化については180ヶ所のリン酸化部位およびタンパクを直接かつ網羅的に検出するRPPA法によっても解析を始める。この方法では、TyrのみならずSer,Thrのリン酸化も検出可能である。
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次年度の研究費の使用計画 |
RPPA法を委託するためおよび検出されたリン酸化部位の抗体での解析を増やす必要があり、それに対して今年度分の直接経費の繰越分を用いる。
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