研究課題
RPPA(Reverse Phase Protein Array - 逆相タンパク質アレイ)を用いた細胞内のキナーゼシグナルネットワーク解析では、分子数が多くリン酸化比率の高いSerine-Threonineのリン酸化は検出可能であるが、本研究で目的とするTyrosine(Y)リン酸化の変化の検出は困難であった。そのため、リン酸化データベースを利用し、いままでの研究から重要と思われるSRCキナーゼを起点とし、細胞内に量的に多く存在する下流分子のYリン酸化部位を検索し、テネイシン-C(TNC)添加によるそれらの分子のSRC基質部位のリン酸化の変化の検討を行った。リン酸化部位特異抗体を用いたWestern blot法では、いくつかの候補分子のうち、乳癌細胞で比較的よく発現しているFAK、RAF1,CORTACTINなどで、TNC添加およびTGF-betaの共添加でSRC基質部位のリン酸化の増強が検出できた。これらの抗体を用いて、ヒト乳癌組織を染色したところ、乳癌細胞を初めとし間質の線維芽細胞、血管内皮細胞、マクロファージ、リンパ球に強い陽性像を認めた。これらはTNCの沈着の分布と一致しており、実際の癌組織内でもさまざまな細胞にシグナルが存在すると考えれた。癌組織からの抽出部で正常部との量的な比較を試みたが、通常の抽出法ではうまく抽出できておらず、今後の検討が必要である。癌幹細胞における特異的なリン酸化についても検討を行った。MDA-MB-231を用いてALDEFLUORにより幹細胞分画を得て、SRCとFAKのリン酸化について非幹細胞分分画と比較したが、処理中に脱リン酸化されていることが判明した。Estrogen(E2)添加によりMCF-7細胞で幹細胞を誘導し、抗体を用いて同様の実験を試みたが、やはり処理中に脱リン酸化を生じて解析ができなかった。E2添加の有無で比較したところ、幹細胞が多い群でTNCの産生は有意に増加し、有意差はないもののSRCとFAKのリン酸化が増強する傾向がみられた。TNCの幹細胞誘導の可能性が示唆された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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