研究課題
本年度は,消化管癌の治療耐性・癌幹細胞克服に向けた新規標的分子を同定し、機能を明らかにする目的で以下のとおり研究を実施した。1)CAST法で同定した膜蛋白コード遺伝子FKTNの発現・機能解析胃癌細胞株(MKN-1、MKN-28)に対するCAST法による癌特異的膜蛋白コード遺伝子解析および種々の癌組織と正常組織におけるqRT-PCR解析により、癌にほぼ特異的に発現する遺伝子としてPCDHB9 (Protocadherin beta-9)を同定した。PCDHB9は、カルシウム依存性細胞接着分子である。PCDHB9は、胃癌・食道癌では過剰発現するが、種々の正常臓器では発現が殆ど見られなかった。臨床症例におけるPCDHB9の発現は癌の進行と相関し、PCDHB9陽性例は陰性例に比較して有意に予後不良であった。細胞株を用いた機能解析により、PCDHB9は癌細胞の浸潤・運動・接着に関与することを見いだした。消化管癌の新しい診断・治療標的である可能性が示された。2)抗癌剤耐性癌細胞株に対するCAST法による網羅的遺伝子の発現解析胃癌細胞株MKN-74(親株と消化管癌の標準的抗癌剤5-FU耐性株)を対象としたCAST法により、親株で過剰発現し、5-FU耐性株では発現が低下する遺伝子としてBST2 (Bone marrow stem cell antigen 2)を同定した。胃癌の約30%で過剰発現し、がんの進行と相関することを見いだした。一方、細胞生物学的検討により、BST2はEGFR/ERKを介して癌細胞の増殖・浸潤に関与するとともに、siRNAによるノックダウンで5-FU耐性が惹起されることを明らかにした。さらに、臨床検体を用いた検討で、術後S-1/5-FU療法が施行された症例では、BST2低下例が予後不良の傾向にあった。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Gastric Cance
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