研究課題
本年度は,1.ヒト鼻粘膜上皮細胞を用いて,緑膿菌エラスターゼによるバリア機能への影響と介在するシグナル伝達経路についての検討,2.ヒト肝の線維化にともなうタイト結合蛋白の変化とマウスモデルとの比較検討.3.ヒト膵癌と tricellulin の教材についての検討,を行った.1.ヒト鼻粘膜上皮細胞に緑膿菌エラスターゼを作用させると,claudin-1,-4,occludin,tricellulin 蛋白が,30分,1時間で発現低下し,4時間までに回復したが,緑膿菌エラスターゼは,PKC,MAPK.PI3K,JNKやNFκBを介し,タイト結合タンパクのリン酸化およびタイト結合分子の発現低下をもたらすこと,PAR-2 はタイト結合の発現調節に関与し,その低下はタイト結合蛋白の発現低下をもたらすことがあきらかになった.2.ヒト肝硬変では,再生結節内辺縁に claudin-7陽性肝細胞が認められた.肝細胞の claudin-7の発現は新犬山分類に基づいた線維化のスコアが上がるほど増加した.肝細胞における claudin-7の役割を検討するために,マウス肝細胞由来細胞株に claudin-7を強制発現させた.claudin-7の発現は,肝細胞や胆管上皮細胞のいずれのマーカーにも影響を与えなかったが,claudin-1,occludinを誘導した.3.ヒト膵癌では,分化度が低下するに従い,tricellulinが核に染色される細胞の割合が増加した.Kaplan-Meier生存曲線で,tricellulin核陽性群は,陰性群と比較して5年生存率が有意に短かった.更に低分化膵癌細胞株で tricellulinの核への局在を細胞分画法,免疫電顕法を用いて確認した.Tricellulinの発現抑制,強制発現により,Panc-1では細胞増殖能・浸潤能が変化した.
2: おおむね順調に進展している
1.緑膿菌エラスターゼとタイト結合の関係2.ヒト肝硬変肝細胞におけるclaudin-7の異所性発現3.ヒト膵癌細胞におけるtricellulinの核局在と増殖能・浸潤能の関係,について明らかにした.
1.タイト結合の機能である細胞の極性形成と維持について2.Claudin以外のタイト結合膜タンパクの機能についての2点を中心に研究をすすめる.
実験結果から、購入を予定していた消耗品目の内容が変化したため。必要な消耗品の購入に充当する。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件)
Pathol Int
巻: 63(1) ページ: 1-12
Carcinogenesis
巻: 34(6) ページ: 1232-1243
PLoS One
巻: 8(9) ページ: e70225
J Med Virol
巻: 85(12) ページ: 2141-2150
Cell Tissue Res
巻: 354(2) ページ: 481-494
10.1007/s00441-013-1676-9
Histol Histopathol
巻: 28 ページ: 1383-1392
巻: 8(10) ページ: e75106
10.1371/jouranl pone.0075106
Respir Res
巻: 15(1) ページ: 21
10.1186/1465-9921-15-21