研究課題
本年度は、タイト結合の機能調節機構の解明を目的に、以下の点について検討した。1)ギャップ結合によるタイト結合機能、2)タイト結合タンパクclaudin(CLDN)に特異的に結合する細菌毒素(CPE)のC末端アミノ酸1~194(以下、C-CPE)を用いた解析、3)タイト結合タンパク免疫染色の病理診断への応用、4)がんの治療標的としてのCLDN-4。1)イルソグラジンマレイン酸(IM)は、細胞間ギャップ結合コミュニケーション(GJIC)を活性化する。鼻粘膜上皮におけるIMによるGJIC活性化とタイト結合バリア機能への影響を検討した。IMはGJIC機能の活性化により、ヒト鼻粘膜上皮細胞のタイト結合タンパクを転写レベルで増加させ、上皮バリア機能を亢進することができた。 IMはTLR 3刺激による一部のタイト結合蛋白の低下を抑制した。2)CLDN-4に高い親和性を示すC-CPEを用い、ヒト鼻粘膜上皮細胞のバリア機能への影響を調べた。C-CPEによるヒト鼻粘膜上皮バリア機能の低下はCLDNの発現および局在の変化を伴わず、主にMAPK経路を介していた。3)胆道生検での悪性診断の精度向上のため、CLDN-18、maspin、p53 の発現様式を解析した。cldn18、maspin、p53はそれぞれ胆管・乳頭部癌における優れた診断マーカーであった。3抗体をパネル化し、積算値を用いるとより良い判別能が得られた。二値化処理を行っても良好な結果が得られた。4)一般に膵癌はclaudin-4を高発現している。膵癌細胞株及びヒト正常膵管上皮細胞を用いて、C-CPEによるタイト結合への影響を検討した。高分化型膵癌細胞株において、C-CPE処置によりタイト結合のフェンス機能およびバリア機能の低下がみられ、この変化はMAPK経路を介してタイト結合機能を制御していた。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 7件)
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