研究課題
1. Girdinと海馬依存性の長期記憶との関連性の解明海馬のシナプス可塑性に関与するシグナル伝達としてBDNF/TrkB/Akt経路の重要性が知られている。海馬培養神経におけるGirdinのS1416リン酸化を調べたところ、BDNF の刺激により Girdin のリン酸化が亢進することが判明した。また、PI3KとAkt阻害剤を用いるとGirdinリン酸が抑制されたことから、GirdinはBDNF/TrkB/Akt経路の下流因子であることが判明した。前年度までの電気生理学的な解析により、Aktによるリン酸化部位の変異マウスではLTPが障害されていること、AMPAとNMDA受容体を介した反応のうちNMDA受容体の反応が特異的に障害されている事が分かっていたので、NMDA受容体に注目して解析を行ったところ、海馬培養神経においてBDNF刺激によるNMDA受容体のNR2B分子のY1472リン酸化がGirdinのS1416リン酸化によってコントロールされていることが判明した。また、Girdin・NR2B・Srcが複合体を形成することが判明した。また、こうしたGirdinリン酸化とNMDA受容体のリン酸化は、培養細胞におけるBDNF刺激だけでなく、恐怖条件付け刺激によって生体のマウス海馬で起こっていることが判明した。これらの結果は、BDNF/TrkB/AktシグナルによるGirdin のリン酸化は、NMDA 受容体の活性化を介して海馬のシナプス可塑性の維持と長期記憶形成を担っていることを示すものである。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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