研究課題
血管内皮細胞等の1型コラーゲン陽性の非免疫細胞にてNFkBとSTAT3が同時に活性化すると過剰なNFkBの活性化が生じて大量のケモカイン、IL-6が発現する。これを契機に局所にたくさんの免疫細胞が集積して炎症が誘導される。私たちはこの炎症の増幅回路(炎症回路)に着目し研究してきた。また局所的な感覚神経-交感神経の活性化が第五腰髄(L5)の血管内皮細胞において局所的な炎症回路の活性化を誘導し、中枢神経系への免疫細胞の侵入口を形成した。この様な背景をもとに、本研究では中枢神経系への免疫細胞のアクセス方法、血液脳関門の制御機構を詳細に解析することを目的とした。具体的には以下の5つの実験を行った。(ⅰ)生体内での各部位における血管内皮細胞活性化状態の解析:多発性硬化症モデルを用いて経時的にL5背側血管の状態を高感度MRIにて解析し論文発表した。(ⅱ)血管内皮細胞以外の1型コラーゲン陽性細胞での炎症回路の活性化と多発性硬化症モデルの病態形成との関係を解析:多発性硬化症モデルを用いて経時的にL5切片を作製し、NFkB, STAT3などの活性化、ケモカイン、IL-6などの発現を解析した。(ⅲ)神経活性化依存性の血管内皮細胞活性化機構の分子レベルの解析:社会的孤立モデル、疼痛モデルを用いて神経活性化部位と状態変化した血管部位を解析した。(ⅳ)リステリア感染と炎症回路依存性の血管内皮細胞の活性化の関連:リステリアが中枢神経系に侵入する部位を同定し、分子機構の一端を見いだした。(ⅴ)メタボリックシンドロームと炎症回路依存性の血管内皮細胞の関係性の関連:高脂肪食投与マウスにおいて、血管内皮細胞の活性化状態に変化が見られた
2: おおむね順調に進展している
多発性硬化症モデルでのL5背側血管が経時的に変化していくこと、さらにその変化が病態に大きく関与することを論文として報告できた点と、各種モデルでの神経活性化と炎症に相関性が見られることも発見し、現在投稿中のものが2つあることから、研究室移動のための引っ越しに伴う実験機器のセットアップなどに時間を要したため実験に多少の遅延が生じたものの、おおむね順調に進展していると考えられる。
今年度は研究室移動のための遅延を取り戻し、結果をまとめて論文化し、社会に研究成果を還元できるようにする。
研究室移動のための引っ越しに伴い、実験機器のセットアップなどに時間を要したため実験に遅延が生じた
本年度行うことができなかった実験を次年次に実施する
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 謝辞記載あり 7件) 備考 (1件)
Cancer Research
巻: 74 ページ: 8-14
10.1158/0008-5472.CAN-13-2322
Archivum Immunologiae et Therapiae Experimentalis
巻: 62 ページ: 41-45
10.1007/s00005-013-0255-9.
Int Immunol.
巻: 26 ページ: 93-101
10.1093/intimm/dxt044.
Front. Neurosci.
巻: 7 ページ: 1-5
10.3389/fnins.2013.00204.
Int. J. Genomic Med.
巻: 1 ページ: 1-5
10.4172/ijgm.1000106, 2013
Journal of Clinical & Cellular Immunology
巻: 4 ページ: 1-4
10.4172/2155-9899.1000156
Mediators of Inflammation.
巻: 2013 ページ: 1-8
10.1155/2013/898165.
http://www.igm.hokudai.ac.jp/neuroimmune/Eindex.html