研究課題
本研究では、細胞膜結合セリンプロテアーゼインヒビターHAI-1およびHAI-2による細胞周囲プロテアーゼ活性制御が上皮組織の恒常性や病態におよぼす影響を研究した。平成27年度は、以下の研究実績を得た。特に、条件付きHAI-2 KOマウスの作成成功は特記すべき成果といえる。(1)PAR-2 KOマウスと条件付きHAI-1 KOマウスとを交配し、腸管特異的HAI-1 KOに伴う実験腸炎感受性の変化を検証した。その結果、強い炎症惹起条件ではHAI-1欠損に伴う腸炎感受性亢進に対してPAR-2の欠損は影響を与えなかった。しかし、弱い炎症惹起条件ではPAR-2欠損が腸炎感受性亢進を緩和する傾向がみられた。また、HAI-1欠損に伴うApc変異マウスの発癌感受性亢進現象についても、上記と同様PAR-2の意義を検証したが、PAR-2欠損に伴う有意な変化は認められなかった。(2)HAI-1の膵癌組織における発現の臨床病理学的意義を解析し、癌細胞における発現低下が無病再発期間短縮と相関を示すことを見出した。(3)口腔扁平上皮癌におけるHAI-1とPAR-2の発現に関する臨床病理学的検討をすすめ、間質のPAR-2陽性線維芽細胞が多い症例は有意に予後が悪いことを見出した。(4)条件付きHAI-2 KOマウスの作成を進め、HAI-2_floxed/floxedマウスの作成に成功し条件付きHAI-2 KOマウス作成が可能となった。現時点ではまだ世界でHAI-2_floxed/floxedマウスの作成は報告されていない。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 謝辞記載あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)
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