研究課題
皮膚の恒常性維持におけるcFLIPの役割を検討するために表皮特異的なcFLIP欠損(cFLIPΔEpi)マウスを作製した。既に論文に報告されているようにcFLIPΔEpiマウスはケラチノサイトのアポトーシスが出生前に亢進し胎生致死となっていることが明らかとなった。表皮においてTNFαの発現が亢進していたことから、ケラチノサイトの細胞死亢進の原因がTNFα依存性であるかを検討するためにTNFR1欠損マウスと交配したところ胎生致死の表現型が解消された。cFLIPΔEpi; TNFR1二重欠損マウスはメンデルの法則に従って出生してきたものの、出生後4~5日目から皮膚炎が出現し、最終的には7~10日目には全個体が致死となることが明らかとなった。このことからcFLIP欠損表皮細胞で認められる細胞死は、出生前はTNFR1依存性であり、出生後はTNFR1非依存性であることが初めて明らかとなった。出生後5日目の組織学的検索では表皮細胞の初期分化マーカーであるケラチン5やケラチン14の発現はcFLIPΔEpiマウスでも正常に検出されたが、後期分化マーカーであるロリクリンの発現は消失していた。この事からcFLIPの欠損により細胞死の亢進した表皮では分化障害が誘導されていることが明らかとなった。一方で、cFLIPΔEpiマウスの表皮細胞では少数のアポトーシス細胞が認められたが、予想外なことにKi67陽性の増殖している表皮細胞が増加していることが明らかとなった。このことは死んだケラチノサイトから何らかの増殖因子が放出され、周囲のケラチノサイトに増殖を誘導している可能性が示唆された。現在その増殖因子の同定を網羅的な遺伝子発現解析により同定を試みているところである。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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臨床免疫・アレルギー科
巻: 63 ページ: 1-6
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