研究課題/領域番号 |
24390102
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
奈良 武司 順天堂大学, 医学研究科, 准教授 (40276473)
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研究分担者 |
坪内 暁子 順天堂大学, 医学研究科, 准教授 (10398662)
橋本 宗明 順天堂大学, 医学部, 准教授 (30407308)
モラレス ホルヘ 順天堂大学, 医学部, 助教 (20596126)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | シャーガス病 / Trypanosoma cruzi / 臓器特異性 / 自然宿主 / 寄生適応進化 / 適応戦略 / 感染モデル創出 |
研究概要 |
本研究は、寄生原虫Trypanosoma cruziの感染によって引き起こされるシャーガス病を、人類との歴史の浅い、未だに未適応の段階にある新興感染症として位置づけ、自然宿主モデルを用いてシャーガス病の病態・症状の多様性および人獣共通感染症としての特徴を理解することを目的とする。本年度は、本症流行地の南米に生息し長い年月にわたってT.cruziと共進化を遂げてきた自然宿主コウモリにおけるT.cruziの感染ダイナミクスについて解析するため、2012年11月に現地に渡り野外調査を実施した。今回の調査では採集されたコウモリは4匹と少なかったが、うち1匹で抗T.cruzi抗体価が陽性となり現在DNAの検出に基づく解析を進めている。野生動物であるコウモリの採集の可否はさまざまな自然条件に左右されるため、 また、予備実験として、平成25年度に予定していたルシフェラーゼ遺伝子を恒常的に発現するT.cruziの作製を実施した。T.cruziでは遺伝的に異なる6系統が存在することが知られているが、予備実験を進めた結果、6系統のうち5系統でルシフェラーゼ発現T.cruziおよびコントロールとして緑色蛍光タンパク(EGFP)発現原虫株を樹立することができた。遺伝的背景がそれぞれ異なる原虫系統およびマウス系統の組み合わせによって特定の臓器特異性や感染動態を示す感染モデルが得られる可能性がある。すなわち、ヒトシャーガス病の実験モデルを世界に先駆けて樹立することが期待できる。今後は研究をさらに進め、得られた複数系統の遺伝子組換え原虫と、異なるマウス系統を組み合わせて大規模な感染実験を行なう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度に予定していたコウモリ採集については採集数が少なく、さらに調査を継続する必要がある。 一方、平成25年度に予定していた組換え原虫の組換え原虫の作製については研究が格段に進み、すでに感染実験を開始する準備が整うなど、計画以上に進展している。したがって、総合するとおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに得られた成果を踏まえ、自然宿主コウモリにおける感染強度や臓器特異性をさらに詳細に解析するとともに、複数系統の遺伝子組換え原虫と、異なるマウス系統を組み合わせて大規模な感染実験を行なう。特に自然宿主を用いた研究では海外連携研究者との連絡を密にとりつつ研究を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
助成金分については、3年間の研究計画全体を見通した上で経費を配分することが可能となったため、年度単位の経費使用を遵守しつつも無駄を極力排除した結果、当該助成金が生じた。次年度以降については当該助成金を合算した額を計上し、研究費の無駄な支出を排除しつつ柔軟に運用する予定である。
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