研究課題
基盤研究(B)
トキソプラズマにおいて最近「細胞外」原虫でのみ形成されるオルガネラの存在が報告された。このオルガネラは原虫の細胞外環境適応能力を規定していることが示唆されている。申請者らは独立した研究によりこれらと類似のオルガネラを発見し、詳細な解析からこれらのオルガネラが3つのサブコンパートメントに区別できることを見出した。本年度はこれらの3つのサブコンパートメントを区別するためにそれぞれに局在するタンパク質の同定を行った。その結果、トキソプラズマが細胞外に脱出した直後、すなわちPLVがPLV1と2に分離する前にはVACにはTgCPLが、PLVにはrab5c、MHE3、VP1が局在しており、その後、PLVの分離に伴い、PLV1にはNHE3およびrab5cが、PLV2にはNHE3、VP1、AQP1、rab7がそれぞれ局在していることを見出した。これらの結果は植物の液胞がrab5を含む初期エンドソームからrab7を含む後期エンドソーム~液胞へと分化していく過程とよく一致しているものと思われた。さらにPLV2はLysoTrackerで染まる、すなわち多量の水素イオンが含まれる以外にも、Fluo-4で染色されるシグナルの存在が確認された。つまり、PLV2には水素イオン以外にも多量のカルシウムイオンが含まれており、この点も植物の液胞との類似が示唆された。トキソプラズマにおいてカルシウムイオンは宿主細胞間の運動に重要であることが知られている。このことから、原虫の運動におけるPLV2の重要性が示唆された。
2: おおむね順調に進展している
トキソプラズマの情報の集積がやや遅れたので、その他のアピコンプレクサについての解析がやや遅れているが、おおむね順調に進展していると考える。
マラリア原虫解析について共同研究を開始した。
マラリア原虫の解析がやや出遅れているのでその解析を行う。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (19件) 備考 (1件)
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