研究課題
結核は、2014年にも150万人の死亡が報告されたように現在も脅威的な細菌感染症である。結核菌のすみかは人であり、非発症感染者(潜在性結核や陳旧性結核)の5-10%において、潜伏感染菌の再増殖が生じ、疾患が発症する。したがって活動性結核に加え未発症者に対処することが結核の制圧につながると申請者は考え、結核菌の潜伏感染機構を解析している。潜伏期において多くの結核菌が増殖を停止した休眠(dormant)状態にあるが、申請者は結核菌の増殖停止の鍵となる蛋白質MDP1を同定し、それが非発症感染者のマーカーとなることを明らかにしている。本研究では、これまでの研究成果を基に、疾患の潜在化の機構解明を目指すとともに、結核の潜在化の維持や誘導による、新しい感染制御法を提案することを目的としている。MDP1を抗酸菌で誘導発現する系を構築した。抗酸菌由来アセトアミダーゼ遺伝子を、pSO246プラスミドに挿入し、そのプロモーター下流に、結核菌およびM. smegatis由来MDP1遺伝子を挿入した。これらのプラスミドにより、MDP1欠失M. smegmatisと結核菌(Mycobacterium tuberculosis H37Rv株)の形質転換体を得た。アセトアミドの添加によって、MDP1の発現が誘導され、さらに菌の増殖が停止することが判明した。さらに、増殖を停止した菌は、生存しており、イソニアジド抵抗性であることを確認した。本結果から、MDP1の発現により、休眠に類似の状態が再現できることが分かった。本結果を、現在組み換え結核菌を用いて確認している。MDP1の発現を増強し、潜在化を誘導する物質のスクリーニングを開始した。MDP1を発現する大腸菌に、放線菌由来のライブラリーを加え、増殖抑制の有無で、効果を判定している。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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http://www.med-niigatauniv-bacteriol.org/