研究課題/領域番号 |
24390111
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
鈴木 哲朗 浜松医科大学, 医学部, 教授 (00250184)
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研究分担者 |
伊藤 昌彦 浜松医科大学, 医学部, 助教 (50385423)
鈴木 亮介 国立感染症研究所, ウイルス第二部, 主任研究官 (50342902)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | C型肝炎ウイルス / パッケージング / 複製 |
研究概要 |
我々はこれまでにHCV Core~NS2発現プラスミドとサブゲノムレプリコンをHuh-7細胞(複製許容細胞)へ共導入することで、レプリコンRNAが取り込まれたウイルス様粒子を産生するトランスパッケージングシステムを確立している。 一般に、ウイルスゲノム複製と粒子へのパッケージングはリンクすることが考えられる。今年度、HCVでもゲノム複製効率が高い場合にパッケージング効率も高いことをHuh7細胞及び非複製許容細胞293Tとの比較から確認した。その上で、複製能とは独立に、粒子へのパッケージングを規定するHCV RNA配列が存在する可能性を考え、トランスパッケージングシステムを駆使してHCVパッケージングシグナルアッセイ系を構築し、以下の研究を行った。ウイルス遺伝子のパッケージングには遺伝子末端領域の二次構造が関与する可能性が考えられるため、HCV RNAの5'または3'非翻訳領域(UTR)をランダムに変異させたミニライブラリーを挿入したサブゲノムレプリコンを作製した。この変異ライブラリーレプリコンをHuh7細胞へ導入、複製能を調べると、3'UTR変異では複製能を保持した変異レプリコンが20種類以上存在することが示された。これらの変異体について、トランスパッケージング解析により、パッケージング能を調べたところ、3'UTR内の最も3'末端側stem-loop構造のstem部分の点変異ではHCV粒子にパッケージングされなくなることが明らかとなった。5'UTRについて同様の手法で解析を行ったが、今のところ複製を許容しパッケージング能を持たない変異は見出されていない。 これまでの結果から、HCVゲノムのパッケージングにはRNA 3'末端部分のstem-loop領域が重要な役割を果たすことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度、パッケージングシグナルアッセイ系を構築し、それを利用してHCVゲノムRNAのパッケージングに必要なRNA領域を同定することを主な研究目的とした。予定通り、アッセイ系を構築し、HCVゲノムの3'UTRの最末端のstem-loopがパッケージングに重要であることを示唆する知見を取得することができた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の成績を基に、ゲノムパッケージングに重要なRNA領域、二次構造、配列を明らかにする。また、実際にHCV粒子に内包されている遺伝子(HCV由来及び細胞由来)を次世代シークエンサーによって網羅的に解析する。
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